アップルストアの従業員が2013年に、持ち物チェックを行われている時間の賃金が支払われていないとしてアップルを訴えた問題で、訴えが起きる前年に、匿名の従業員から「まるで動物のような扱いを受けている」とティム・クックCEOへメールで直訴が行われていたことが分かりました。また、クック氏も受け取ったメールを読み、役員会議でこの問題について検討をしていたことも明らかとなりました。
拘束されたことよりも拘束の仕方が問題
訴えを起こした同従業員は、1,500ドル(約186,000円)分の給料が未払い扱いとなっているとしています。アメリカの場合、アップルストアの店員は時給12-18ドル(約1,500-2,200円)で雇用契約を結んでいるため、日々の持ち物チェックが約10時間分にも積み重なったことが分かります。
 
しかし、この持ち物チェックは不当な時間拘束よりも、むしろ持ち物チェック自体が「アップル従業員の侮辱であり品位を貶める」ような内容であることが問題とされています。
従業員を全く信用していない

 
2012年に従業員の1人がティム・クック氏に宛てたメールが、裁判では公開されました。「アップル・リテール・スペシャリストからの怖れを知らぬフィードバック」というタイトルで送られてきた匿名のメールには、アップルストアでは従業員が全く信用されていないとする驚くべき実態が記されていました。
 
アップルストアは従業員に対して、業務時間中はデバイスとシリアルナンバーが付いたカードを付与していますが、店舗を離れる際はこれらを返却したうえで、製品を隠し持っていないかバッグのチェックを受けなければなりません。しかし同メールによれば、時にはお客の目の前でもこういったことが平然と行われていたそうです。
 
「こういったやり方は、アップルが自分たちの従業員を信任していないことを意味している」と匿名の従業員は記しています。「マネージャーは犯罪者のように従業員を扱うよう要請されている」
 
また、2013年1月にも、北京のアップルストアに勤める従業員から、「アップルは従業員を動物のように扱っている」という告発メールがクック氏のもとに送られてきたことが発覚しています。同アップルストアではアップル製品が非常口の前にうず高く積み上げられ、従業員が出られないような処置がされているとのことです。
上層部も問題について話し合ったが
クック氏へ送られたこういったメールについて、アップル上層部で検討が行われたことも明らかとなっており、人事部門のチーフであるDenise Young Smith氏は、同社は何らかの形でポリシーを変更するべきだと考えたそうです。
 
「こういったやり方は好きではない。だが、(検査が)必要だと彼らが考える理由も分かる」とYoung氏は戦略部門の責任者に宛てたメールに書いています。「他のオプションを探した方がいいと思う。例えばランダムにチェックを行ったり、仮に抑止をするにしても、もう少し知的で尊厳のあるようなアプローチがあるはずだ」
 
そのうえでSmith氏は、3-6ヶ月間バッグの中身を調べるようなテストを一時停止し、まずは同期間でどれだけ製品が盗まれるかチェックするべきだと提案しましたが、戦略部門の責任者からは、現行の検査は控えめなものだ、との回答が返って来たとのことです。
アップルストア従業員にも配慮を

 
アップルは現在でもバックのチェックを行っていますが、やり方を変えたのかどうかは分かっていません。アップルのスポークスマンは、この問題について口を閉ざしたままです。
 
ちなみにアップルのウェブサイトには、「サプライヤーの責任」というタイトルで、“Every worker deserves to be treated with dignity and respect(全ての従業員は品位と尊敬を伴って扱われる必要がある)”と大きな文字で記されたページが存在します。そろそろアップルも、サプライヤーだけでなく、リテーラーに対しても気を配る段階に来ているのかも知れません。
 
 
Source:CNN Money(1),CNN Money(2),Apple
(kihachi)