最後の試合で優勝逃したクロップ監督「立ち直るのに時間が必要」

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 ドルトムントユルゲン・クロップ監督が会見室の席を立つと、今シーズン限りでクラブを離れる指揮官にメディア関係者から感謝の拍手が送られた。

 30日、日本代表MF香川真司の所属するドルトムントは、今シーズン最後の試合にして唯一タイトルの可能性を残していたDFBポカール決勝で、ヴォルフスブルクと対戦。だが、結果は1−3で敗れ、準優勝で終わった。

 試合後、クロップ監督が退任前最後の記者会見に臨んだ。日本語版クラブ公式サイトが伝えている。

 クロップ監督は、「決勝にふさわしい内容で素晴らしい勝利を収めたヴォルフスブルクにおめでとうと言いたい」と、相手チームに称賛の言葉を送ると、「両チームとも死力を尽くして戦ったと思う。我々は見事なゴールで先制し、さらにリードを広げていてもおかしくない決定機をつくった。しかし、その後の16分間で3点を奪われ、試合の流れが一変してしまった」と試合を振り返った。

 また、チームのパフォーマンスについては、「前半を2−3で終えておくべきだったね。(ピエール・エメリク・)オーバメヤンが倒された場面もPKが妥当だったと思う。後半にも(香川)真司に決定的な場面があった。チームとしてはよくやったが、相手にうまく守られ、どうしても2点目を奪うことができなかった」とコメント。

 さらに、スコアを2−0にするチャンスを逃したドイツ代表MFマルコ・ロイスについて問われると、「あれほどの才能があれば、マルコは絶対にこれからいくつもタイトルを手にできる」と、ロイスの能力を評価。そして、「いずれにせよ、あの場面だけが今日の敗因ではないし、2−0から3点を奪い返されない保証はどこにもない」と、同選手を擁護した。

 1−3で迎えたハーフタイムについては、「スコアをひっくり返し、鮮やかな逆転勝利を収められると100パーセント確信していた。一瞬たりとも不安を感じてはいなかったね。まだ決定機を5、6回つくれると信じていた」と心境を明かすと、「もちろん、ハーフタイムで1−3というスコアは理想的ではないが、後半もチームのパフォーマンスはよかったと思う」と語った。

 そして、「我々は準優勝に終わったが、オリンピックの銀メダルほど嬉しくはない……」と、ドルトムントでの最後の試合でタイトルを逃した悔やしさを示すクロップ監督。試合終了後には、サポーターから“クロップ”コールが行われたが、「残念ながら、私を慰めてくれるものではなかったね。非常に感動的ではあったが、ああいった場面では何も慰めにはならない」とコメント。

「この敗北からすぐに気持ちを切り替えることはできないからね。何かに真剣に打ち込み、目標を達成できなかったのであれば、立ち直るまでに時間が必要だ」と敗戦でのショックの大きさを明かすクロップ監督だが、退任については「喪失感は一切感じていない。その反対で考えることが多過ぎるくらいさ」と語った。