今週は競馬の祭典・GI日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)。クラシック1冠目のGI皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)で驚異の末脚を見せて完勝したドゥラメンテ(牡3歳/父キングカメハメハ)の2冠制覇が注目されているが、血統的見解からミュゼエイリアン(牡3歳/父スクリーンヒーロー)に期待したい。

 2番人気で出走した7月福島芝1800mの新馬戦で、後に重賞ウィナーとなるココロノアイを破り、初勝利を挙げる。その後も、GIII札幌2歳S4着(2014年9月6日/札幌・芝1800m/勝ち馬ブライトエンブレム)、GIII共同通信杯4着(2月15日/東京・芝1800m/勝ち馬リアルスティール)など善戦を繰り返しつつ力を付け、GIII毎日杯(3月28日/阪神・芝1800m)で重賞初制覇。前走の皐月賞は0秒8差の7着に入って、ここに臨んでいる。皐月賞は瞬発力不足を感じさせたが、東京に舞台が変わり、距離が延びて前進が見込める血統の持ち主だ。

 父スクリーンヒーローはGIジャパンC(東京・芝2400m)の勝ち馬で、その父グラスワンダーはGI有馬記念(中山・芝2500m)を連覇するなどGI4勝。母の父エルコンドルパサーもジャパンC勝ち馬で、フランスのGIサンクルー大賞典(芝2400m)を勝ち、GI凱旋門賞(芝2400m)でも2着に入った名馬である。

 牝系も素晴らしい。母の妹エリンコートは2011年のオークス(東京・芝2400m)勝ち馬で、4代母ダンシングシャドウの子孫には、アメリカGIBCターフ連覇し、イギリスGIキングジョージ6世&クイーンエリザベスSを勝ったコンデュイット、GIアイルランドオークスを勝ったペトルーシュカ、GIアイルランド2000ギニーを制したスペクトラムなどがいる。さらに5代母サニーヴァリーまで遡(さかのぼ)ると、イギリスGIオークス馬のサンプリンセス、日本ダービー馬フサイチコンコルド(1996年)、皐月賞馬ヴィクトリー(2007年)とアンライバルド(2009年)、今年に入って重賞2勝のアドマイヤデウス、GIIIダイヤモンドS勝ち馬コスモメドウなど、近親からは欧州と日本を中心に多くの活躍馬が出ているのだ。

 注目すべきは、その近親の多くが2400mを超える長距離戦が得意という点。一貫して1800m以上を使ってきた臨戦課程や、毎日杯で見せた粘り強い走りから見ても、この馬にとっても距離延長はプラスに働きそうだ。

 日曜日は雨予報で馬場状態も気になるところ。この馬自身は道悪を未経験であるが、パワー型の血統なので得意である可能性も高い。

 さらに鞍上は天皇賞・春(ゴールドシップ)、NHKマイルC(クラリティスカイ)で今春のGIを2勝して、好調の横山典弘騎手。すでに2009年のロジユニヴァース、昨年のワンアンドオンリーでダービーを2勝(2着3回)しており、気楽に乗れる馬の立場も好材料。名騎手の"一発"に期待したい。

平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki