Aリーグのシーズンを終え、日本に帰国した田中。オーストラリアと日本の違いなど、異国でのプレーを通じて感じたことを率直に語ってもらった。

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 昨季いっぱいで川崎を退団し、今季からAリーグのウェスタン・シドニー・ワンダラーズでプレーする田中裕介。異なるサッカーに触れ、日本サッカーのポテンシャルを改めて感じたという彼は、新天地のオーストラリアで、前回王者として参戦したACLで、一体なにを感じ取ったのだろうか。Aリーグでの最初のシーズンを終え、日本に帰国した田中に話を訊いた。
 
――◆――◆――
 
――オーストラリアで感じた違いはなんでしょうか?
 
「まずは雰囲気ですかね。日本だとずっとサポーターが歌っていて、いい意味で言えばずっと賑やか。でも向こうは起伏が激しい。黙って見てるシーンがあって、でも盛り上がる場面でいきなり『うわー』って盛り上がる。良いプレーをした時に拍手だったりとか。そういうのは、日本ではなかった盛り上がり方でしたね」
 
――そうした雰囲気のなかで感じた厳しさというのは?
 
「やっぱり『サッカーが違う』という一言ですかね。ぼくらのチーム(ウエスタン・シドニー・ワンダラーズ)はどちらかというと割り切った戦いで堅守速攻的なサッカーをする。相手を下げて、そこからつなぐ。僕と(高萩)洋次郎が入って多少なりともつなぐサッカーに変わったので、それでチーム自体もそういう風にしていこうという感じにはなりました」
 
――与えられたポジションはJリーグ時代と同じサイドバックだったんですか?
 
「そうですね。右8割、左2割くらい」
 
――そのサイドバックでの役割は日本でやっていた時と変わらないんですか?
 
「そんなに変わらないですね。ただ、どちらかというとあまり自分のポジションを崩して前に上がっていくよりもゾーンごとの決まり事を守るほうが優先されます。一人ひとりのゾーン、受け持つゾーンがある程度決まっているので、そこで負けるなと。僕で言えばサイドバックなので、そのポジションで相手のウイングをしっかり止める。どのチームにも大抵ウイングがいて、外に張っているチーム多い。そこでの1対1に負けないということを一番求められました」
 
――昨年のACLで、川崎がアウェーでワンダラーズと対戦した時にやられたようなタイプの選手が必ずいると?
 
「アッピアですね。あのタイプの選手が必ずいて、張っているんですよね。彼らとのマッチアップで止めることを要求されるわけです。観客もその場面になったらそれを求めてくる。スタジアム全体が、たとえばウイングが持った時に『仕掛けろよ』と。『そこでパスするなよ』と。そういう雰囲気になる。ディフェンスもそこで止めたら拍手が起きる。だから、ちょっといい意味で昔のサッカーという感じで、そういう楽しみもありましたね」
 
――そうして磨かれる対人能力は、JとAを比較してどうでしたか?
 
「1対1に関しては、正直Aリーグ(オーストラリア・リーグ)の方が強いと思います。攻めも守備も。怖さが違う。選手のポテンシャルという部分では、オーストラリアの方が上かなと思いました。日本では永井(謙佑)とか、あのクラスになれば怖さはあった。でも、あそこまでのスピードはないにせよ、もっと上手い選手がオーストラリアにはいます。ギリギリ止められそうだけど、怖さがあるという選手は何人かいました」
――Jリーグ勢は今季のACLでG大阪と柏が、ラウンド16に残っていますが、最近はアジアで苦戦しています。Aリーグから見ていて、Jリーグ勢の難しさは感じましたか?
 
「今残っているガンバや柏は、やっているサッカーはしっかり守り、攻撃はガンバなら宇佐美、パトリック、柏ならレアンドロといった選手に任せている部分がある。つまりスーパーな選手に任せているというのが基本的な作りで、後ろはしっかり守る。アジアを戦う上では、そういう傾向になっているのかなと思います」