今週は3歳牝馬の最高峰レース・GIオークス(東京・芝2400m)。牡馬クラシックのGI皐月賞(中山・芝2000m)→GI日本ダービー(東京・芝2400m)の400mに比べ、桜花賞(阪神・芝1600m)から一気の800mの距離延長となることで、距離適性がより大きく取り沙汰されるレースである。

 とは言いつつも、必ずしも長距離血統の馬ばかりで決まらないのがこのレースの特徴。マイル血統の桜花賞馬が好走することも多いし、別路線組の長距離血統馬が穴人気になって期待に応えられなかったケースも多い。基本は、桜花賞好走馬を重視するスタンスが無難だろう。このレースでは以下の2点をポイントとして挙げておきたい。

「桜花賞で強い競馬をした馬は短距離血統でも注目」
「長距離タイプでも、一線級とのレース経験が無い馬は割引」

 桜花賞(4月12日)は5番人気のレッツゴードンキが逃げ切って4馬身差の圧勝に終わった。展開に恵まれたとしてフロック視する見方も多いようだが、それだけに今回も軽視され、再度恵まれる可能性も十分ある。1997年の牡馬クラシック2冠馬サニーブライアンを思い起こさせる状況だ。

 改めて血統を分析してみよう。母はダート短距離で5勝した馬だが、母の父マーベラスサンデーはGI宝塚記念勝ち馬で、種牡馬としてもネヴァブション(GII日経賞など重賞3勝)、シルクフェイマス(GIIアメリカJCCなど重賞3勝)など中長距離タイプを多く出している。

 さらに3代母の父リアルシャダイは春の天皇賞馬ライスシャワーなどの父で、ステイヤー種牡馬の代名詞とも言える存在。近親のクィーンスプマンテも2200mのGIエリザベス女王杯を勝っているように、血統的には桜花賞よりオークス向きとも言えるのだ。行きたがる気性がネックだが、再びマイペースで運べれば、すんなり2冠を制しても驚かない。

 桜花賞2着のクルミナルもオークス向きの血統。父ディープインパクト産駒は桜花賞4連覇が印象的だが、オークスではジェンティルドンナが勝利した他、過去3年連続で2着に入っており、こちらも得意の条件なのである。

 母はアルゼンチン3歳牝馬チャンピオンで、同地で芝2000mのGIを2勝。その父キャンディストライプスは天皇賞馬バブルガムフェローの半兄で、ドバイワールドCを勝ったインヴァソールの父。GII青葉賞(東京・芝2400m)を勝ったペルーサの母の父でもある。そんな血統背景からも元々オークス向きと見られていた馬であり、さらなる上昇が見込めるだろう。ただ、こちらはレッツゴードンキのような気性面の不安は少ないものの、チューリップ賞(3月7日/阪神・1600m)で11着と惨敗したように道悪馬場には不安が残る。当日の馬場状態には注意が必要だ。

 桜花賞で単勝1.6倍の断然人気ながら9着と敗れたルージュバック。"ジェンティルドンナに続く女傑"としても大きな期待をかけられていただけに、"まさかの惨敗"と見た人も多いだろう。スローペースで馬群に揉まれたのが敗因となったようだ。母ジンジャーパンチはBCディスタフなど米GI6勝の名牝。母系の血はダート向きで、母の父にオーサムアゲインを持つ馬は芝だと1800m以上しか勝利がないので、マイルより今回のほうが距離は向くだろう。東京芝2000mの百日草特別でベルーフ、ミュゼエイリアンという後の牡馬重賞ウイナーを破っている実績も心強い。揉まれ弱いという弱点が見えたことも今回に生きるはずで、巻き返してきそうだ。

 桜花賞2番人気10着のココロノアイも、オークスで巻き返しが見込める血統馬だ。ステイゴールド×デインヒルはGI天皇賞・春2連覇(2013,、2014年)のフェノーメノと同じ。GI宝塚記念(2010年)の勝ち馬で、仏GI凱旋門賞2着のナカヤマフェスタも祖母の父がデインヒルとなる血脈だ。3代母マックスビューティはオークス、桜花賞を勝った2冠牝馬。祖母マックスジョリーも桜花賞、オークスでいずれも3着に入った実力馬だった。祖母の父リアルシャダイのスタミナも入り、血統的にはオークスの2400mがベストだろう。

 新興勢力では、GIIフローラS(4月東京・芝2000m)を勝ったシングウィズジョイに注目。母シングライクバードはフラワーC3着で、3代母フリートークはクイーンSなど重賞2勝を挙げ、桜花賞3着、オークス4着に入った実力馬だった。近親にはムッシュシェクル(GII阪神大賞典)、シクレノンシェリフ(GIII毎日杯)などの中長距離タイプが多く出ている。母はシンボリクリスエスとリアルシャダイの組み合わせのRobertoクロスを持つスタミナ配合。その母に父マンハッタンカフェの瞬発力が加わり、400mの距離延長はさらに有利に働きそうだ。

 2歳時には牡馬相手の野路菊S(2014年9月20日/阪神・芝1800m)でダノンメジャーの2着に入り、距離不足のクイーンC(2月14日/東京・芝1600m)でも6着と敗れたが、勝ち馬から0秒3差と大敗はしなかった。実績も十分で、ここに入っても格負けはしないはずだ。

 以上、オークスは桜花賞1、2着馬を中心に、ルージュバック、ココロノアイ、シングウィズジョイの走りに注目したい。

平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki