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「人魚姫」の作家アンデルセンの故郷として知られる北欧デンマークで4月下旬、動物との性行為を禁止する法案が可決された。

ロイター通信によると、デンマークではこれまでも、動物を傷つけるおそれのある性行為が禁止されていた。しかし、動物の権利が十分に保護されないとして、動物愛護団体が規制強化を求めていた。

ドイツやイギリスなどヨーロッパ主要国では、すでに動物との性行為が禁止されているため、アブノーマルな目的をもった観光客がデンマークに集まり、社会問題化していたのだという。

日本でもそんなアブノーマルな話はネット上にあふれているが、もし仮に日本で動物と性行為した場合、どんな問題があるのだろうか。動物に関する法律問題にくわしい鈴木智洋弁護士に聞いた。

動物愛護法違反や器物損壊罪にあたる可能性

「日本には、動物との性行為を直接禁止する法律はありません。ですから、動物と性行為を行ったからというだけで、即、何かの法律違反となるわけではありません」

鈴木弁護士はこのように切り出した。法的に問題ないということだろうか。

「いえ、動物愛護法が禁止する『愛護動物に対する虐待』に当たる可能性は十分にあると思います。

普通に考えれば、動物の側から積極的に好き好んで人間と性行為をしたいと思うことはないでしょう。そのため、動物と性行為を行うということは、動物の意に反して、人間が動物に性行為を強要していると評価できるからです」

愛護動物とは、どのようなものか。

動物愛護法では、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひるが『愛護動物』となっています。このほか、人が所有している哺乳類、鳥類、爬虫類も『愛護動物』になります。

性行為を行う動物が、動物愛護法が定める『愛護動物』に該当しない場合は、虐待罪は成立しません。

しかし、その場合でも、人が所有している動物に対して、性行為をすることで何らかの傷害を負わせたような場合は、刑法の器物損壊罪が成立する可能性があります。

仮に何らかの犯罪に該当しないとしても、動物と性行為を行うということは、動物の福祉に反するものと言えます。人間にとっても、人畜共通の感染症に罹患してしまう危険性もあります。あまりお勧めできることではないでしょう」

鈴木弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
鈴木 智洋(すずき・ともひろ)弁護士
専門は労働法(使用者側限定)、行政法(行政側限定)、動物法・ペット法。
動物法・ペット法に関しては、ペット法学会に所属する他、国立大学法人岐阜大学応用生物学部獣医学課程の講師も務めている
事務所名:後藤・鈴木法律事務所
事務所URL:http://www.gs-legal.jp/index.html