【2015年3歳クラシック】
■Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第5弾)

 牝馬クラシック第2弾、オークス(5月24日/東京・芝2400m)への出走権をかけたトライアルレースがすべて終了した。

 GIIフローラS(4月26日/東京・芝2000m)は、シングウィズジョイ(牝3歳/父マンハッタンカフェ)が勝利。その翌週に行なわれたオープン特別のスイートピーS(5月3日/東京・芝1800m)は、ディープジュエリー(牝3歳/父ディープインパクト)が快勝した。

 とりわけ、ディープジュエリーはデビューから無傷の3連勝。スイートピーSでも、何度も不利を受けながら勝ち切ったことで、オークスに向けて「期待の新星登場か!?」と一躍脚光を浴びた。が、残念ながら、陣営がレース翌週に「オークス回避」を表明。関係者はもちろん、ファンにとっても寂しいニュースとなった。

 ともあれ、これらの結果と経過を踏まえて、3歳牝馬の"女王"を決するオークスの行方を占う『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、日刊スポーツの木南友輔記者、デイリー馬三郎の吉田順一記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者がそれぞれに、現時点における3歳牝馬・牡馬の実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、ルージュバック(牝3歳/父マンハッタンカフェ)。断然の1番人気で臨んだ桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)では、まったく力を発揮できずに馬群に沈んだ(9着)。しかし、桜花賞の前までは無傷の3連勝。強力牡馬を打ち破ってきたことへの評価は依然として高く、前回(4月23日配信「一強から混戦へ。オークスを占う『3歳牝馬ランキング』」)と同じく、トップの座を守った。

●吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「桜花賞は、大事に乗り過ぎてレースの流れに乗れなかったこと、そして馬体重が減っていたことが敗因か。あと、マンハッタンカフェ産駒は、軽い芝のほうが好走例が多く、良とはいえ、やや荒れた馬場の阪神コースは合わなかった可能性があります。その点、今度は高速馬場の東京コースが舞台。さらに2400mと距離が延びて、より持ち味を発揮できると思います。一度負けたことで、厩舎やジョッキーが、思い切った仕上げ、乗り方ができるのもプラス材料。ポテンシャルの高さは明らかで、巻き返しに期待しています」

●市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「揉(も)まれない少頭数の競馬で3連勝を飾ったルージュバック。18頭立ての多頭数で行なわれた桜花賞では、馬群が固まるレースの後方で揉まれてしまいました。そうした経験のないルージュバックにとっては、最悪の競馬を強いられてしまいましたね。オークスでは、広い府中(東京競馬場)でうまく先行して、能力をフルに発揮できれば、自ずと結果はついてくると思います」

●木南友輔氏(日刊スポーツ)
「どの馬にとっても未知の距離となる、2400m戦で行なわれるオークス。鞍上がルージュバックの力を信じて乗れるかどうかが、勝敗を左右する最大のポイントになるのではないでしょうか」

 2位は、桜花賞で逃げ切り勝ちを収めたレッツゴードンキ(牝3歳/父キングカメハメハ)。当初、距離適性を考慮してNHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)への路線変更も検討されたが、オークス参戦を決断。牝馬クラシック二冠を狙う。

●土屋真光氏(フリーライター)
「レッツゴードンキと同じキングカメハメハ産駒のドゥラメンテ(牡3歳)が皐月賞で優勝。昨年のハーツクライのように(※)、今年のクラシックはキングカメハメハ産駒の当たり年と言えそう。レッツゴードンキの母(マルトク)は短距離馬でしたが、血統自体は2400m戦も不問。牡馬相手に好位で3着に粘った札幌2歳S(2014年9月6日/札幌・芝1800m)の内容からも、実は桜花賞よりもオークスのほうが向いていそうな気がします」
※昨年のクラシックでは、ハーツクライ産駒のヌーヴォレコルト(牝4歳)がオークスを、ワンアンドオンリー(牡4歳)がダービーを制覇した。

●市丸氏
「レッツゴードンキの指数(※)は、依然ナンバー1。ただし、オークスでも逃げるとなると、他馬のマークはかなり厳しくなりそう。それに、さすがに今度は"単騎逃げのスロー"といった展開は望めないでしょう。おそらく岩田康誠騎手もそれをわかっていて、基本的には"逃げ"の選択はしないのではないでしょうか。そこで、折り合いよくレースを進められるかどうかが、勝敗のカギを握っていると思います」
※市丸氏が独自に編み出したTF(タイムフィルター)指数。

 3位は、ミッキークイーン(牝3歳/父ディープインパクト)。抽選に漏れて桜花賞出走は叶わなかったが、桜花賞と同じ日に行なわれたオープン特別の忘れな草賞(阪神・芝2000m)を快勝。桜花賞組以外では、唯一のランクインとなる。

●市丸氏
「面白味を感じるは、4戦2勝2着2回とまだ底を見せていない点。前走の忘れな草賞のように、出遅れずに競馬ができれば、オークスでも好勝負でしょう。過去のオークスがそうだったように、今年も上がりの瞬発力勝負になる公算が高いと見ています。そうなると、ミッキークイーンをはじめ、鋭い脚を持ったディープインパクト産駒たちの争いになるのではないでしょうか」

 4位は、桜花賞4着のクイーンズリング(牝3歳/マンハッタンカフェ)。連勝は途切れたものの、注目された3頭の無敗馬の中では最先着を果たした。

●木南氏
「桜花賞前までの3連勝したレースを改めて見直してみると、ゆったり走れる2400m戦のほうが、この馬にとってはプラスだと感じました。マイル色の濃い血統ですが、母父アナバーと言えば、凱旋門賞(フランス/芝2400m)を連覇したトレヴ(牝5歳/フランス)と一緒。その点も、魅力のひとつです」

 5位は、アンドリエッテ(牝3歳/父ディープインパクト)。桜花賞ではスローペースに泣いた(6着)が、前哨戦のチューリップ賞(2着。3月7日/阪神・芝1600m)で見せた豪脚は強烈だった。その末脚全開をオークスで期待してか、吉田氏と木南氏が2位にランク付けして高評価を与えている。

●吉田氏
「小柄なディープインパクト産駒ですが、体を大きく見せる良質なバネを誇っています。折り合いに心配はなく、距離延長も歓迎。他馬を気にせず、いいポジションで流れに乗れれば、チャンスは十分にあります」

 こうしてみると、今回の順位は獲得ポイント数に違いはあるものの、前回とまったく同じ結果に終わった。その理由について、市丸氏が次のように分析する。

「オークス・トライアルのフローラS、スイートピーSを見て、そこからオークスに向かう面々の中には、既成勢力を脅かすほどの馬は存在しなかった――識者の誰もがそう判断した結果でしょう。これでオークスは、桜花賞組+忘れな草賞を勝ったミッキークイーンでの争い、という図式であることがはっきりしたのではないでしょうか」

 激戦の3歳牝馬の頂上決戦。桜花賞で下位に沈んだ馬たちの逆襲があるのか。それとも桜花賞の上位組が再び強さを見せつけるのか。ちょうど10日後、運命のゲートが開く。

text by Sportiva