先週末のゲームで、J1リーグは6試合を終えた。

 まだ6試合ではない。もう6試合だ。すでに中盤戦である。今季から2ステージ制となったからだ。

 2ステージ制の是非を問えば、僕は「非」の立場である。勢いに乗ったチームが一気に駆け抜けることのできる短期決戦は、リーグ内の力関係を正しく映し出さない──。自分なりの根拠はいまも変わらないが、ここまでのところは「正」と「負」の両面が出ていると感じる。
 
 プラスの効果は「重み」である。
 
「1勝、1敗の重みは変わっている」と話すのは、川崎Fの中村憲剛だ。彼自身は2ステージ制で戦うのが初めてで、「正直なところ、やってみないと分からない」と話すが、負けられないという気持ちがこれまで以上に激しくぶつかっている、と感じているようだ。
 
 1シーズン制なら順位を考えにくいこの時期に、「優勝するためには勝点を落とせない」とか「これ以上負けられない」といった意識が強く芽生えている。1試合の重みが増したことで、ゲームの緊迫感が高まっているところはある。
 
 そうした意識は、マイナスにも作用する。「負けられない」という危機感がリスクを排除するプレーにつながり、激しい撃ち合いが減っている。攻撃力を押し出してタイトルをつかもうとするチームは少数だ。
 
 そうかと言って、昨年の同時期比で引き分けが激増したとか、得点が激減したとかいうわけでもない。その大きな理由は、飛び抜けた実力を持つチームが見当たらないからだろう。それゆえの2ステージ制移行でもある。
 
 1勝の重みが増したことで混戦に拍車がかかり、引き締まったゲームが増えていくのか。勝点を得るためではなく失いたくない意識が先立つことで、ロースコアのゲームが量産されていくのか。短期決戦の行方とともに、それぞれの試合の内容にも目を凝らしたい。