4月特集 春競馬、クライマックス(15)

2015年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第4弾)

 牝馬クラシック第1弾の桜花賞(阪神・芝1600m)が4月12日に行なわれた。戦前は3戦3勝の無敗馬3頭の激突が注目されたが、確たる逃げ馬不在の中、押し出されるように先頭に立った5番人気レッツゴードンキ(牝3歳/父キングカメハメハ)がそのままトップでゴール。後続に4馬身差をつける圧勝劇を演じて、桜の女王に輝いた。

 一方、期待の無敗馬たちは、断然人気のルージュバック(牝3歳/父マンハッタンカフェ)が、ちぐはぐな競馬で9着と惨敗。クイーンズリング(牝3歳/父マンハッタンカフェ)は差し脚を伸ばすも4着にとどまり、キャットコイン(牝3歳/父ステイゴールド)も後方から追い上げるも7着に沈んだ。さらに、前哨戦のチューリップ賞(3月7日/阪神・芝1600m)を制して2番人気に推されたココロノアイ(牝3歳/父ステイゴールド)も、見せ場なく10着に敗れて、人気馬は総崩れに終わった。

 また、桜花賞の当日に行なわれた「残念・桜花賞」と称されるオープン特別の忘れな草賞(阪神・芝2000m)では、抽選漏れによって桜花賞出走が叶わなかったミッキークイーン(牝3歳/父ディープインパクト)が快勝。2着にも評判馬ロカ(牝3歳/父ハービンジャー)が入って、こちらは順当な結果となった。

 これからまた、牝馬クラシック第2弾のオークス(5月24日/東京・芝2400m)に向けて新たな戦いが始まるが、まずは上記までの結果と経過を踏まえて、"二冠目"の行方を占う『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、日刊スポーツの木南友輔記者、デイリー馬三郎の吉田順一記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者がそれぞれに、現時点における3歳牝馬・牡馬の実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、ルージュバック。桜花賞9着惨敗という結果を受けながらも、前回(3月26日配信「桜花賞まで17日。『2015年3歳牝馬ランキング』」)同様、首位の座をキープした。多くの識者が、オークスでは巻き返しがあると踏んでいるようだ。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「超スローの特殊な流れとなった桜花賞。能力を発揮できなかった有力馬が多数いて、『凡戦』と言っていいでしょう。とはいえ、本番でしっかりと力を示せなければ、真の強さとは言えないのも事実です。そういう意味では、桜花賞で結果を出せなかった有力馬の評価は下げるべきなのでしょうが、ルージュバックはそう簡単には見限れません。

 桜花賞の敗因は、流れと馬体減(マイナス6kg)といったところ。加えて、4戦目にして最高にいいスタートを切りながら、ダントツ人気によって大事に乗り過ぎたのが、裏目に出たように思います。3コーナー、4コーナーと、終始ストレスのあるポジションで推移。この馬の売りであるダイナミックなストライドは見られませんでした。この反省を次のオークスで生かしてほしいと思います。一度負けたことでセールスポイントの闘争本能を失わなければ、あっさり巻き返せるだけの能力と実績はあります」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「管理する大竹正博調教師が口にしたように、桜花賞の敗因はひとつのことだけが原因ではなく、複数のことが積み重なってのもの。実際、直前の追い切りを見ていますが、馬の状態面は悪くありませんでした。何にしても、今回の敗戦だけで過去3戦のパフォーマンスが否定されるものではないし、オークスでの巻き返しは十分に可能だと思います。今度は強気の競馬で、新たなルージュバックが見られるかもしれません」

 2位は、桜花賞で波乱の主役を演じたレッツゴードンキがランク外から急浮上。しかも、首位ルージュバックに1ポイント差まで迫った。今後については、距離適性を踏まえて、NHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)も視野に入っているようだが、もちろんオークスに出てくれば、無視できない存在となる。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「桜花賞は、上位人気馬もレッツゴードンキと同じ競馬をさせてもらえたら、同じように結果を出せたのではないか、と思われます。そのため、桜花賞の結果によって、レッツゴードンキが抜けた存在になったのか、というと、そうではないでしょう。さらにオークスとなれば、距離の問題もあって(レッツゴードンキの母マルトクは短距離馬)、苦しむ場面が出てきてもおかしくありません。が、桜花賞を勝ったことは、高く評価すべき。もしも、オークスでも同じような競馬ができれば、有力な一頭となるでしょう」

土屋真光氏(フリーライター)
「前回のランキングで、『クラシックで1着に突き抜けるほどのパンチ力は感じませんが......』と評しながら、桜花賞ではまんまと突き抜けられてしまいました(苦笑)。前半、脚を溜めに溜めたとはいえ、ハナを切りながら最後の上がりタイムが出走メンバー中4番目の速さ、というのは立派。自在性もあって、ゆったり流れるオークスでもチャンスがありそう。馬券的にも、桜花賞がフロック扱いされれば、結構美味しくなるかもしれません」

 3位は、忘れな草賞を勝ったミッキークイーンが初のランクイン。GIIIクイーンC(2月14日/東京・芝1600m)で2着と好走するなど、もともと素質の高さは評価されていた期待馬だ。

市丸氏
「オークスでは、ごちゃごちゃの競馬を強いられた桜花賞組よりも、(ミッキークイーンのほうが)フレッシュな状態で、前向きに競馬に臨めそう。これまでの実績を踏まえれば、穴人気になるでしょうが、上位候補に浮上したことは間違いありません」

吉田氏
「負けられない忘れな草賞をきちんと勝ち上がった勝負強さは評価できます。つなぎ(※)のクッション性や走法からは、マイラータイプのイメージを強く感じるのですが、折り合いについては問題がないので、(オークスの)2400mの距離は十分こなせると思います」
※蹄(ひづめ)から球節の間の部分

 4位は、クイーンズリング。桜花賞では、"無敗馬トリオ"の中で最先着の4着となったが、前回よりも1ランクダウンした。

木南氏
「桜花賞2着のクルミナル(牝3歳/父ディープインパクト)も強かったですが、最後に外から追い込んできたこの馬の強さも相当なもの。母系がフランスで、マイル色の濃い血統ですが、持久力も持っています。オークス出走なら、十分に争覇圏内にいる一頭だと思います」

 5位は、アンドリエッテ(牝3歳/父ディープインパクト)。桜花賞6着ながら、前回と同じランキングをキープした。

吉田氏
「桜花賞ではルージュバックを徹底マーク。結果的には、マークする馬を間違えたことが敗因と言えます。しかし、超スローペースでもピタリと折り合って、最後は最速の上がりタイムを記録。2着クリミナルとはコンマ2秒差でした。ディープ産駒らしい軽さと切れ味は、しっかりと継承されています。長めのつなぎは柔軟性があって、自身の馬体以上に大きく体を使えるのが武器。不得手な道悪でも結果を残した"根性娘"で、東京の2400mも歓迎のクチです」

 桜花賞の結果を受けて、大きく変動した今回のランキング。前回2位のココロノアイは、一気に圏外まで落ちてしまった。だが、識者の中には根強く評価する声もある。

市丸氏
「桜花賞で、一番自分のレースをさせてもらえなかったのが、ココロノアイ。超スローペースの中、引っかかりっぱなしで、何もできませんでした。オークスで人気が落ちることを考えたら、"穴馬"として最大の狙い目になるかもしれません」

 また、これから出走権を確保しなければいけないものの、未知の魅力を持つ"新星"の名前も上がっている。木南氏が推すのは、半姉がGI2勝、ケンタッキーオークス2着馬という超良血のディープジュエリー(牝3歳/父ディープインパクト)。土屋氏は、東京コースに強い母系を持つ、リアンドジュエリー(牝3歳/父クロフネ)に一票を投じた。

 さて、牝馬クラシック二冠目となるのは、ほとんどの馬にとって未知の距離が壁となるオークス。その壁を乗り越えて"樫の女王"の座に就くのは、桜の女王か、巻き返しの実績馬か、はたまた新興勢力か、興味は尽きない。

text by Sportiva