仕事も遊びも忙しいアラサー世代に「セックスレス」が増えています。「恋人・夫婦仲相談所」所長の二松まゆみさんの元に寄せられたセックスレスのお悩みを例に、なぜ“しなくなったのか”その理由を探ります。

結婚3年目です。子供が欲しいので、結婚してから避妊をやめました。健診では特に問題が見つからなかったのですが、なかなか妊娠しないので、タイミング法にチャレンジしています。ここ半年は仕事が忙しく、排卵のタイミングを逃しているうちに、セックスがなくなりました。夫の方も誘ってきません。また排卵のタイミングで誘うべきか、しばらく妊活は休むべきか悩んでいます。気のせいか、夫婦仲もギクシャクしている気がします。
(陽子さん<仮名> 33歳・公務員)

子作りのためのセックスが、意欲低下を招く事態に……

以前、不妊に悩む女性の方々に講演をしたことがあります。なかなか旦那さんが協力してくれないという言葉が多く飛び交いましたので講演後、各々にこっそり尋ねてみました。「どうやってベッドに誘っていますか?」と。

・その日の朝、冷蔵庫に真っ赤な♡のシールを貼って「今日は残業しないでね」と伝えます
・朝食に健康ドリンクと生卵を追加しておきます
・夕方、会社に「今日は排卵日」というメールを送ります
・排卵日3日前から夕食のメニューをにんにく入りのスタミナレシピにします。
・朝、起きたとき「今夜はがんばろう」と伝えます

というような、“エロチックなお誘い”とは真逆の行動パターンが見て取れました。私が「それはちょっと……」と驚愕したのは

「夫が寝室に入るのをみはからって、パジャマを脱ぎ、全裸でベッドの上に大の字になって待ちます」

笑ってしまう方もいるでしょうが、それほどご本人は切羽詰まっておられます。女性は年齢を重ねると妊娠しにくくなるという事実は避けて通れません。早く早くと焦る思いがこのような行動に現れます。

プレッシャーをかけすぎると男性は排卵恐怖症に

相談者さんの行動はそこまでエスカレートはしていませんが、タイミング法を始めると旦那さん側はやはりセックスの意欲が減少する傾向にあります。セクシーな気持ちが高ぶって女性を求めるという本来のプロセスを崩し、セックスしなければならないから、がんばってその気になるという事態。男性にとっては「義務セックス」となり、興奮度は下がります。排卵日恐怖症になったという男性もいました。相談者さんの場合もセックスレスになりかけていますよね。言葉で言わずとも妻からのプレッシャーが滲み出ていると、夫は逃げ腰になります。

あまり排卵日を強調せず、自然にベッドに行くという流れが理想です。また、排卵日にがんばって1年経過し、疲れたのでもうがんばるのを止めた。そのとたん妊娠したという方の声をたくさん聞きます。リラックスして抱き合う方がよりよいオーガズムを得て、妊娠しやすいのではと思います。妊活という意識を全面に出さず、のんびり温泉旅行でも行ってみようくらいの期間をもうけてみてはいかがでしょうか。

(二松まゆみ)