三重苦の少女マリーを演じたアリアーナ・リボアール

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視覚と聴覚に障害を持つ少女と教育係のシスターの絆を描いた仏映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」で、少女マリー・ウルタンを演じたアリアーナ・リボアールが来日し4月21日、バリアフリー上映の普及を訴えるため、東京・日比谷の日本外国特派員協会で会見を行った。

バリアフリー上映とは障害を持った人たちが映画を楽しむことができるよう、セリフの合間に場面の視覚的情報を補う音声ガイドナレーション(副音声)や、字幕、手話をつけるといった環境を整えた上映。今作は、音声ガイドナレーションを付けるための製作費50万円を、洋画で初めてクラウドファンディングで公募することを決定した。

映画の舞台は19世紀末のフランスで、マリーは実在した女性をモデルにしている。聴覚障害の少女たちが暮らす修道院にやってきた、生まれつき目も耳も不自由な少女マリーは、一切教育を受けず野生児のように育ち、誰にも心を開かなかった。修道女マルグリットは献身的にマリーを教育し、本来の人間性を取り戻させる。しかし、マルグリットは不治の病を抱えており、2人の別れの時は目前に迫っていた。

メガホンをとったのは「ベティの小さな秘密」のジャン=ピエール・アメリス監督。自らも聴覚に障害を持 つリボアールがマリー役で銀幕デビューを果たし、「きつねと私の12か月」のイザベル・カレがマルグリットに扮した。

リアボールは、「今作にはとても重要なメッセージがある。障害を持った人たちにも見てほしいということで、フランスではフランス語の字幕付きで見て頂くことができたんです」と話す。「映画は、どんな違いを持っていても同じ人間として楽しむ娯楽。これを実現させるためにアメリス監督は尽力されました。この様な活動はフランスでもパイオニア的な存在なんです」と、作品としてバリアフリー上映の普及に一石を投じたと説明した。

また、リアボールはじめ、本作では実際の聴覚障害者が修道女役を演じている。アメリス監督は手話でコミュニケーションを取って演出を行ったといい、「アメリス監督は、手話通訳を通しての撮影も可能と示した人なんです」と称賛を送った。さらに、「人間はそれぞれ困難や違いを持っているものですが、映画の前ではみんなが平等に楽しめることが大切なんです。本作がパイロットモデルとして世界中に広がっていくことを切に願っています」と真摯に語った。

「フランス(映画界)ではろうあ者に対するリスペクトがあまり足りていない気がします」というリボアール。「もし字幕が付いていても、クオリティがあまり高くなかったりする。映画は“みんな”に対する娯楽。その“みんな”には、私たちろうの人間も含まれています」と力強く訴え、「私たちには日常的に困難さがあり、その私たちを見る皆さんの眼差しがプラスアルファの困難になってしまうこともある。皆さんがその困難さを理解して、リスペクトして下されば、お互いにもっとうまくいくと思います。それをはっきりと示しているのが(主人公のモデルとなった)マリー・ウルタンの人生であり、この作品です」と力強く訴えかけていた。

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