ヤンキース時代のイチロー【写真:田口有史】

イチローは昨季終盤の時点でヤンキースからの移籍を確信していた?

 マーリンズのイチロー外野手が、昨季終盤戦にヤンキースから移籍することを確信していたと明かしている。ニューヨークの地元紙デイリーニューズが報じた。

 今季初となった“凱旋試合”でイチローが魅せた。16日(日本時間17日)、敵地シティ・フィールドで行われたメッツ戦で1点を追う7回1死走者なしの場面で代打として出場したイチローは、ニューヨークの観衆から大きな拍手を受けて打席に向かった。

 右腕モンテロの9球目を右中間に運び、今季初の長打となる三塁打をマーク。後続の二ゴロで本塁に突入した際、一度はアウトと宣告されたが、マーリンズ側のチャレンジによりセーフとなった。これでマーリンズは一時同点に追いついたものの、その後に再び勝ち越され、5−7で敗れている。

 その試合前、イチローはニューヨークメディアに対して、昨シーズンの終盤にはすでにヤンキースからの決別を考え始めていたことを語ったという。

「ヤンキースでは難しい経験をすることがあったけれど、それらの経験は役に立っている」

 記事では「イチローは昨年359打席に立ち、打率2割8分4厘だったが、いつ、どう起用されるのか、少し一貫性がなかった。だから、彼は昨年終盤にヤンキースにまた戻って来ることにさして興味がなかった」と報じている。

 イチローは「100%ではありませんが、僕が(ヤンキースに)戻らないことはすごく高い確率だった」と通訳を介して語ったという。

 41歳のベテランは今季、マーリンズに4番目の外野手として加入。メジャー最強と称される平均年齢24歳の外野トリオを擁するチームにおいて、代打などで毎試合出場している。ただ、10試合を消化した16日時点での打撃成績は17打数4安打。遅刻により起用を見送られたマルセル・オズナ、背中の張りを訴えたクリスチャン・イエリッチに代わって3試合に先発したものの、昨年ほど打席数を確保することはできないかもしれない。

 それでも、イチローは新天地でのプレーを心から楽しんでいるようだ。

「もしも、自分の役割が分かっていたら、準備がしやすくなる。それはフィジカル的にだけではなくて、メンタル的にも。ヤンキースでは難しい経験をすることがあったけれど、それらの経験は(現在)僕の役に立っているし、(これからも)役に立ち続ける」

「いつ、どこで自分が試合に入るかわからない経験をしてきたから、準備できた」

 ヤンキースのジョー・ジラルディ監督の采配は、地元メディアやファンからも疑問の声が上がるほど、時に不可解だった。それは、イチローの起用法に限ったものではなかった。ただ、ヤンキースでの経験があったからこそ、完璧主義者のイチローは途中出場でも集中力を高め、理想的な形で打席を迎えることができるという。

「アトランタ(ブレーブス戦)では僕がピンチヒッターとして打席に立つかもしれない機会が4回に訪れた。早いけれど、僕はすでに試合に入る準備はできていた。いつ、どこで自分が試合に入るかわからないという経験を過去にしてきたから。そして、自分が準備しなければいけない状況に身を置いた経験をしたからこそ、準備できた」

 久しぶりに戻ってきたニューヨークで今季初の三塁打に加え、異例の長さである5分44秒のビデオ判定を呼ぶ本塁突入というスーパープレーで輝きを放ったイチロー。新天地でさらなる飛躍が期待される。