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男の退職、その後はどうなる?(上)

【PJ 2007年01月05日】− 2000年1月4日朝、わたしは京都御池通りにあるホテルの窓から戸外を眺めていた。すぐ目の前の小路には、早くも年賀に廻るらしい商人たちが行き来していた。そのとき初めてわたしは仕事を終えたわが身を認めた。「そうか、今年から年賀参りは行かないのだな」。そう思ったとき、瞬時ではあったが例えようもない寂しさに襲われた。あれから今日まで丸7年。長かったのか、短かったのか。

 前年4月、知り合いの女性編集者から乞われて、6回に亘り「男の退職準備日記」というタイトルで地元雑誌にコラムを連載した。わたしはそのころ世に言う定年世代ではあったが、退職が決まっていたわけではない。編集子の言い分に乗せられただけではあったが、夏に入ったころ、勤務する会社の役員会議で話題になった。わたしも役員の一員、弁明するつもりはさらになかったが、「本気で書いているのか」と案じる同僚もいた。筆の勢いは恐ろしい。その年9月1日、臨時役員会議でわたしは関係会社出向を命じられた。内心「退職準備」は出来ていたから辞令を返上、代わりに退職願を提出した。トップ三役が驚いたのは当然である。

 予ねてよりわたしは「ここは何時までも働く場所ではない」と思い続けていた。働くことが嫌いなわけではない。その会社の本質的な体質には辟易していただけである。自身総務部長職にあった折には、役員の60歳定年制を提唱し、一部の賛同を得られたものの、同族経営企業の体質改善は生易しいものではなかった。社内の勢力争いに敗北したという見方もあったらしいが、退職を選んだ自分自身はすこぶる爽快であった。「これで辞められる」…。退職後の筋道など立てていない。なんとかなる、そう考え、その通りになった。

 世間には「親切」という名の「お節介」が多いとは知っていたが、あちこちから聞こえてくるのは耳ざわりの良い話だけ。「先方も了解している、いい会社を世話するから」、と言ってくれたのは、県庁最高幹部の某氏だったし、「アナタならどこでも食ってゆける」と激励する後輩もいた。当の会社からは数度に亘って様々な条件を提示してきた。「好む先があれば斡旋する」ことや、「週に数度出てくれば〇百万円を保証」というオファーさえあった。だがわたしはその総てを断り、総てを信頼しないこととした。現状打破を決定するのは自分、信頼できるのは自分以外にはない、そう思ったからである。

 想像以上に、「ヤルことがないぞ」と親切なサジェストは元NHKの幹部。「食ってゆけるのか」と真顔で心配したのは同じ会社の先輩社員。7年の歳月は誰もが考え得なかった展開となった。人生とは自由闊達、無碍なる存在と知ったのは何より自分自身なのである。生きる道を切り拓くのは、自らの食事の支度ができること、買い物上手になること、掃除洗濯を厭わないこと。つまりひとえに「カミサン離れ」が出来るか否かに掛かっている。女性に依存してはならない。依存される立場を選ぶべきだ。でなければ…。【つづく】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 今藤 泰資【 茨城県 】
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