女性教諭はウェブで声明を発表したが、控訴は結局棄却された

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   東京都立大泉養護学校の女性教諭(56)が2002年の入学式の際に、日の丸に反対する意思を表す衣服を着用したために東京都教育委員会から戒告処分を受けていた問題で、同教諭が都教委に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が2006年12月26日、東京高等裁判所であった。女性教諭は判決前、「日本をファシズム社会へとゴウ音をたててひっぱっていこうとしている」などとぶちあげていたが、結局、控訴は棄却。ネット上でも「判決は当然だ」という意見が大半だ。

「日の丸」「君が代」に反対する絵が描かれたブラウスで登場

   女性教諭は、「日の丸」「君が代」の強制に反対する絵が描かれたブラウスを着て登場。校長が、「上着を着るように」と命令したが、従わなかった。02年11月には、都教委が女性教諭に戒告処分を下しており、女性は処分が不当であることを訴え、東京地裁に処分の取り消しを求める訴訟を起こしていた。
   女性教諭は2006年12月19日、「日の丸」「君が代」に反対して処分された教諭を支援するサイト「パワー・トゥ・ザ・ピープル!!」に声明を掲載した。

「安倍首相は,衆議院での教育基本法与党案強行採決直前に,”国旗国歌の尊重”を強調し,教員が従うのはもちろんのこと,子どもたちが歌えるように指導するのは当然と言い放っています。安倍政権は,戦後教育改革のすべてなぎ倒し,日本をファシズム社会へとゴウ音をたててひっぱっていこうとしているのです」
「私の裁判が,多少なりとも意味をもつとすれば,無言のまま右へ右へと追いやられて権利を奪われる社会の中で,かすかながら反対の声をあげ,不服従の灯を消さない努力をしているということでしょうか」などと述べ、意気が上がっていたようだ。

   都立学校の教職員らが、「国歌斉唱」と「日の丸に向かっての起立」についてその義務の無いことの確認を求める訴訟を東京地裁に起こし、06年9月には原告側勝訴の判決が出されたという前例もあり、女性教諭が判決にある程度の自信を持っていた可能性もある。

「生徒と保護者には一生に一度の門出の場」

   しかし、原田敏章裁判長は「行為は入学式の円滑な進行を妨げた」などと述べ、都教委の処分を適法とした一審判決を支持し、原告側の控訴は結局、棄却された。
   ネット上では、この判決を「妥当」とする意見が圧倒的多数だ。
   ネット上のブログでは、

「この人にとっては年に何回かある思想の表現の場でも、生徒と保護者には一生に一度の門出の場」「こういう『力の入れ所』を間違っている大人が多いことに大人として呆れます。要するに、『教育の門を晴れてくぐってくる入学者を祝福する』意図よりも、自己の主義主張を押し出したかったのでしょうね」

   と、入学式という式典を「思想表現の場」としたことへの批判が多い。
   こうした意見は、ネット上の掲示板2ちゃんねるでも多く見られる。

「なんでこういう教師は教え子の式典ぶち壊したがるのかね」「教師が学校の行事で政治活動だろ?懲戒解雇でいいじゃん。普通、会社で政治活動したら解雇だよ?」「入学式に自己主張とはどっかの成人式みたいだな」