「生体認証システム」で指をセンサーにあてる職員。(写真提供:東京都北区)

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電子情報のセキュリティー向上のため、東京都北区は11日から、約3000人の職員を対象に、内部情報を扱うパソコンを利用する際、本人確認のための「生体認証システム」を導入した。全職員を対象にしたのは23区で初めて。

 北区が導入したシステムは、指をなぞることで指紋表皮の凹凸による温度差を波形数値化して本人を識別する。同区役所ではこれまで「ユーザーアカウント」「パスワード」の入力で本人確認を行ってきたが、本人に代わった「なりすまし」などによる盗用の恐れがあるため、同システム導入に踏み切った。

 都道府県レベルでは、佐賀県が2005年に5000人の職員を対象に全国で最初に同システムを導入。約430人の職員が勤務する東京都の武蔵村山市も、同年から指紋の全体画像を画像処理するタイプを導入したが、現在は佐賀県と同じ指紋表皮の温度を数値化するタイプに切り替えている。北区では同システムの導入にあたって、このような地方自治体に見学に出かけたり、問い合わせたりするなどで情報収集を行った。

 現在職員の間では、IDやパスワードの手入力と管理がなくなったと好評。同システムが導入されたことで情報セキュリティーが完全に確保されたわけではないとしながらも、同区の担当職員は「認証システムのセンサーに指をなぞる動作によって、各職員が住民の個人情報を扱う大切さを再認識するというメリットも大きい」と同システム導入の効果を語った。【了】