いったいアンドリー・シェフチェンコはどうしてしまったのか。世界最高のストライカーは、チェルシーでもゴールを量産するものと見られていたが、なんとも“絶望的”なシーズンを送っている。そんななか、イングランドとイタリアのマスコミは、『1月にミランに復帰』『シーズン終了後、ミラノに戻ってくる』との報道を繰り広げるようになった。ミランは否定したものの、ファンの間ではこの話題で持ちきりとなっている。

こうした噂をどのように解釈すればいいのだろうか。そこで、偉大なるミランのОB、ズボニミール・ボバンに意見を聞いた。

ボバンは開口一番、噂を即座に否定する。
「単に推測の話だろう。これは私の考えだが、こうした騒動は意味が無いように思う。なぜなら、噂話をするには、まだ時期が早すぎるからだ。新しい環境に慣れるのは時間が必要なもの。いくらシュフチェンコと言えども、すぐに成果を求めるのは無理な話だ」
 
とはいえ、ミラネッロに戻ってトレーニングすれば、以前どおりにゴールを量産できるのでは、という指摘は、あながち外れてもいないように思える。
「それも過程の話だ。第一、彼は自身の人生の選択として、移籍を決断したはず。子供たちを、英語を母国語とする環境で育てたいということでね。勇気を持って元のチームへ戻るという選択肢もないわけではないが、出来るならば選んだ道は戻るべきではない。前に進むしかない。それが人生というものだ」
 
では、苦境の真っ只中にいるシェフチェンコには、何が必要なのだろうか。ボバンは、様々な経験を積んだ先輩として、彼にエールを贈る。
「今は辛抱するしかない。アンドリーは長い間、同じチームでプレーしてきた。同じピッチで、同じ仲間とプレーすることに慣れ過ぎてしまったんだ。新しい環境に適応するには、それだけの時間が必要だ。今は辛い時期が過ぎるのを我慢強く耐えるしかない。ただ、シェバは自分のサッカーまで忘れてしまったわけではないだろう。彼ほどの選手がこのままの状態でいるはずはない。必ずチェルシーで再起を果たすと信じているよ」