ゴルフ会員権市場は「ミニバブル」

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   ゴルフ会員権が高騰している。コースによっては、最安値のときに比べて、2倍、10倍、100倍なんていう例も。これはバブル期に匹敵する異常な高騰ぶりである。

   2006年で創業36周年、東京・銀座に本社を構えてゴルフ会員権の売買仲介業を営む桜ゴルフの佐川八重子社長は、「ゴルフ会員権の相場は04年ごろから高額価格帯(1,000万円以上の名門コース)で動き始めました。それが今年は会員権全体の85%を占める、いわゆるお手頃価格(250万円前後)のコースが活況に。(会員権売買が)本格化したといっていいでしょう」と話す。

団塊世代出動、2万円の会員権が150万円に

   ゴルフ会員権といえば、バブル期は「投機」の代名詞だった。バブル崩壊で一時は価格が20分の1にまで下落したが、06年1~6月は平均30%強の伸びを示し、「相場の勢いを見ますと、これはもう『ミニバブル』といえます」と、佐川社長が驚くほど。その原因は、株式市場の好調などを背景に大手企業が高額の名門コースを買い戻すケースが増えたこと、また、ここ数年相場を物色してきた富裕層の個人が買いを強めたことがある。

   なかでも、団塊世代の”活躍”が目立つ。それも低価格帯よりワンランク上で、家族や友人とプレーを楽しみたいというエグゼクテチィブ層が増えているという。いまゴルフ会員権を購入する個人の約45%が50歳代。この世代の予算が150万〜350万円の価格帯にあたる。つまり、ゴルフ会員権市場において団塊世代が、ここにきて動き出したのだ。

   06年11月25日付の週刊ダイヤモンドは、こうした状況を「『ミニバブル』の会員権相場 ゴルフ場買収合戦の熾烈」と伝えている。たとえば、名門といわれる東京・小金井カントリー倶楽部は最安値3,400万円だったが、いまの相場(11月10日時点の価格)は8,500万円。上昇率はなんと150.0%になる。300万円未満の低価格帯では、たとえば最安値2万円の富士カントリークラブが06年初に50万円、いまの相場では150万円をつけている。

素人が自分の判断で手を出すと痛い目に?

   佐川社長に「上がる会員権」の目利きについて聞くと、「はっきり申しまして、個人に上がる会員権を見つけることは無理です。わたしどものような専門家に聞いてください」と、ピシャリ。「わたしどもはゴルファーのために、安価で、埋もれていたコースを発掘し提供するのが使命です」。たとえば、前出の富士カントリークラブは、時の首相・石橋湛山が発起人を務めた名門コースだった。しかし、バブル崩壊後”フジカン”グループと間違われてダメージを受けたまま「埋もれていた」ものを桜ゴルフが仕立て直した、という。「素人が手を出すと痛い目に遭い兼ねない」というのだ。

   あえて留意点をあげてもらうと、

1. チェーン化されているコースは連鎖倒産の心配あり
2. 経営内容のチェックを怠らず
3. 株主会員制であること。また、正会員になること。
4. メンバーが多すぎると土・日にプレーができなくなるので、会員数は適正(18ホールで、1,500名前後が目安)であること。
5. 住まいから近いこと。また、駅や高速道路のインターから近いこと。交通費を費やしては意味がない!

   佐川社長によると、「11月半ばに入ってボーナスプランの需要が始まっています。注目は500万円以内のコース」とさらに上昇する気配がある。これまでゴルフ会員権は大手企業の役員や中小企業の社長が持つもの、と相場は決まっていたが、低価格の会員権のおかげでその裾野は広がって、身近になってきていることは確か。「若い人には、使い捨てのつもりで安価なコースを買って、ゴルフに親しみ、なれることから始めてほしいですね」。