20日、本社で新型「スカイライン」を発表する日産の志賀COO(撮影:吉川忠行)

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日産自動車<7201>は20日、中型セダン「スカイライン」を5年ぶりに全面改良した12代目を同日から発売すると発表した。

 「スカイライン」は1957年に初代が発売され、2001年発売の11代目「V35型」まで改良が重ねられ同社の主力車種に成長。国内販売は累計300万台を突破、海外では同社の高級車ブランド「インフィニティ」の販売網で展開している。

 12代目は、先代に対して全高を20ミリ下げ、全幅を20ミリ拡大することで、歴代受け継がれてきたスポーティーな外観にさらに磨きをかけたという。スカイラインのアイデンティティとして親しまれた丸型4灯式のテールランプも復活させた。

 また、エンジンを前輪より後方に配置して高い運動性能と安定性をもたらす独自の車台「FR-Lプラットフォーム」を先代から継承し、エンジン搭載位置を15ミリ下げることで、一層の低重心化を実現。後輪駆動車専用で、高回転・高出力の新開発V型6気筒エンジンを採用し、走りのキビキビ感と乗り心地の良さを両立させたとしている。排気量は2.5リットルと3.5リットルの2種類を設定した。

 同日、東京都中央区の本社で記者会見した志賀俊之COO(最高執行責任者)は「世界で戦うクルマとして、多くのライバルたちと個性・性能・優美さを競い合い、自動車ファンの期待に応える本格的なセダン」と述べ、発売50周年を間近に控えた同車をアピールした。

 税込価格は、2.5リットル車で279万3000〜359万1000円、3.5リットル車で348万6000〜380万1000円。40代後半の夫婦を主な購買層とし、テレビCMには俳優の渡辺謙さんと米シアトル・マリナーズのイチロー選手を起用した。国内の月販目標台数は1000台を見込むが、07年3月までに1万台突破を目指す。

 日産によると、国内自動車市場では、ミニバン、小型車、軽自動車が全体の7割を占め、拡大傾向にある一方、「スカイライン」の他、トヨタ「マークX」などが属するLセダンは、80年代は月販20万台程度だったのに対し、近年では1万台ほどに縮小している。

 日産は、国内の新車投入が軽自動車1台だった今年上期の業績は8年ぶりの営業減益となったが、下期には国内外でスカイラインを含む9車種を発売して販売をテコ入れし、業績回復を図る考えだ。

 志賀COOは、スカイラインの展開について「もう一度、スポーティーなセダンにあこがれてもらえるお客様を増やし、販売計画がコンサバ(保守的)だったと言えるように広がりを持たせていきたい」と話し、下期からの反転攻勢に意欲を示した。【了】

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