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青年よ!『夢追い人』のフリーターになれ(下)

青年よ!『夢追い人』のフリーターになれ(下)
25歳までには、プロのボーカル・シンガーになる。その目標に向かってまい進する福島杏美さん(21)。(撮影:穂高健一)
【PJ 2006年11月19日】− (中)からのつづき。最近、怖さを感じたことは何か、とフリーター3人に質問してみた。『戦争が怖い』ということばが真っ先にでてきた。

 「北朝鮮が核実験をしたとき、心から怖いと思った。北朝鮮は戦争する気じゃないだろうな、と真剣に考えました」と日向(ひゅうが)邦弘さんは語る。「東京は一番栄えている都市だし、最初に狙われるんでしょ。そう思うと怖い」と福嶋杏美さんも、自分の住まいが核爆発による被害を受けたことを想像したという。そのうえで、「いま、私が死んだら、目指しているもの、未来がすべてなくなる。家族もなくなる。それが怖い」と話す。

 「北朝鮮は金がない。外貨獲得のために、核兵器を他国に販売したら、多くの国に核兵器が拡散する。学校のいじめに似て、国の間でもいじめがあると思う。それが戦争に結びつく。核兵器が使われたら怖い」と福島正則君がいう。

 「六カ国協議の国際間の話し合いの場で、日本は核兵器を持っていない。北朝鮮は核を持った。銃を突きつけられて交渉するのとおなじ。日本は核兵器を製造して、外交交渉に臨むべきか? 被爆国だから 核兵器は持たないほうがいいのか? その都度、心が揺れ動く」と福島さんは核の問題を真剣に語っていた。

 「自衛隊がいつか自衛軍なり、徴兵制になるかもしれない。自分もかりだされるのかな、と思うと、自衛軍は反対だ。自分は外国の人に悪いことをしたわけじゃない。日本のために、という名の下に自分の生命を捨てるのは、理不尽だ。それに戦争は人を殺すことだ。人を殺しても、問題は解決しない」と日向さんは徴兵制に反対を表す。

 戦争に対する政治批判から、地震対策のお粗末さに話が及んだ。「コロッケなど油料理を作っていると、ここで地震がきたら、どうなるのだろう、といつも思う。ガスを使っているし、とっさに消せるか、と心配になる。食卓の下に潜り込んでも、助からないと思う」と福嶋さんはいう。同時に、政治家や役人はたくさんいるのに、地震対策が全然できていない、お粗末だと批判を向けた。

 フリーターとは何か。最後に問うてみた。「フリーターは金をないけれど、夢は持っている。夢追い人なんだ。やりたいことを見つけるための中間点。職業をいろいろ体験していけば、きっといい成果が出せる。反面、仕事が適当だといわれると悲しい」と日向さんが代表していった。まさに、その言葉に集約されると思う。3人は生き様にたいして前向きだし、社会批判の目も持っている。

 「しっかり勉強して、大会社に入れ。フリーターにはなるな」とおしえる教員。その実、高校時代に大学受験科目ではないと世界史を履修せず、日本史となると選択で取らなかった。歴史を知らない教師が、正社員の社会的な優位を語り、指導する。他方で、自国の歴史すら語れないビジネスマンが海外に赴任していく。国際的な折衝力のもろさが見えてくるようだ。

 数年前、 北海道の旅先で、ハーバード大学の男子学生2人と同宿し、夜遅くまで語ったことがある。一人は外交官、もうひとりはビジネスマン志望。ハーバード大学には日本のように8年以内で卒業する規定などない。上海と東京で、数年ずつフリーターで働き、それを将来に生かし、30歳までには外交官になるという。

 日本の場合は東大在学中に外交官試験に合格し、大学を中退して外務省に入ったほうが『ハクがある』といわれていた。これでは日米の外交官の資質、と同時に外交交渉のちがいは歴然と現れるだろう。

 日本の各企業は、20代〜30代で、どんな職業を経験してきたか、それを問う入社試験制度に切り替えたほうがよい。それが将来の国際競争力に立ち向かえる人材確保につながる。他方で、教員は若者たちに現状打破とか、変革とかを生み出すには、みずから海外に飛び出すフリーターとか、国内で多種多様な職業を経験するとか、その積み重ねが大切だと説くべきだ。

 古今東西、世の中の流れを変えた著名な人物は、世間の枠組みや仕組みにとらわれず、自由闊達に行動したものが多い。教員はむずかしい教育論にとらわれず、歴史の人物を抽出して語ればいい。たとえば土佐藩を脱藩した坂本竜馬。かれは浪人者、ある種のフリーターだ。その経験が竜馬の豊富な人脈づくりに結びついた。結果として、それが徳川幕藩体制を崩壊させる礎となった。歴史上の人物を語って教えるだけでも、青年の心につよく刻まれ、将来において役立つ。

 芸術、文学、音楽の世界ではとくに転職の経験が有用だ。3人から話しを聞くほどに、福嶋さんがプロのボーカル・シンガーとなれば、フリーター経験が生かされた、人間味ある、よい歌い手となるだろう。彼女の歌はきっと観客の心に響く。そうした舞台が想像できた。【了】

■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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