堀江公判 14日の被告人質問(1)
東京地裁で14日開かれたライブドア(LD)事件の公判で、元社長、堀江貴文被告の本人尋問が引き続き行われた。尋問内容の要旨は次の通り。(質問者は高井康行弁護士)
クラサワコミュニケーションズ買収について
──(2003年10月に行われた宮内亮治被告、塩野誠氏、MKSパートナーズのY氏によるミーティング結果の報告メールと、それに対する堀江被告の返信メールが示される)少なくとも開いてはいる。内容的に覚えがあるのは。
たぶん見たと思う。全部ではないと思うが。
──インラインで返答しているのは見ているか。
そりゃそうでしょうね。
──旧経営陣と従業員の処遇は。
社長は残っていた。リストラしたいというのもなかったので、(従業員も)そのままじゃないか。
──旧経営陣、従業員の処遇を決めたのは。
社長(の処遇)の判断は多少私。従業員はM&A担当者じゃないか。クラサワはボーダフォンの代理店だった。
──議事録の中身は読んだか。
企業価値は8億円ぐらいだったと思う。
──株式交換で発行するライブドア(LD)株の株価算定は「12万円もしくは株式交換の契約締結前日の東証終値の、どちらか高い方」となっているが。
覚えていない。関心ないから。私が知るべきことではないから。自動的に株価が決まると思っていた。
──どういうことか。
基本的にはM&A担当者が合理的に決めるのだろうと思っていた。
──「決まりました」とあるが、事後報告か。
そうですね。決定は取締役会です。
──(塩野氏から熊谷史人被告へのメールが示される)「ロックアップがあるので、3月16日以降でないと新株が発行出来ない」とある。
このメールは覚えていない。この前に増資したのでロックアップがかかっていると思うが、その間、私を含めて株を売れないと増資の時の契約書に書いてあった。
──メールを読む基準は。
仕事の忙しさによる。メーリングリストは題名だけ読むとか。
──(クラサワのことをカーターと呼ぶメールが示される)
覚えはないが、クラサワのことをカーターと呼ぶのは知っていた。なんでこんな名前付けるのかな、バカ。格好つけてんじゃねーよ、バッカじゃねーのと思った記憶はある。
──(メーリングリストに送られたクラサワの契約書が添付されたメールが示される。CCで堀江被告にも送られていた)
見た記憶がない。ここで私が契約書をみても仕方がない。顧問弁護士の角家先生とかが詰めればよく、私は最後の承認をすればいい。見ている暇がない。
──(塩野氏がメーリングリストに送ったメールが示される)
見た覚えはない。弁護士の角家先生と塩野のやり取りを見ても突っ込みようがないので、見なかった。
──(03年11月18日に塩野氏がメーリングリストに送信した出資に関するメールが示される)
見ていない。この時は仕事でラスベガスに行っていた。
──いつごろからか。
この2−3日前。その前には中国に行っていた。
──海外出張中はメーリングリスト宛のメールは読むのか。
仕事の忙しさによる。基本的にメーリングリストまで手が回らない。インターネット回線も日本より遅く、開くだけでも時間がかかる。僕宛のメールは見るが、メーリングリストは後回しにし、読まないことも多い。
──03年10−11月にイーバンクとライブドアファイナンス(LDF)でファンドを作る話があったのは知っているか。
それは知っている。
──EFC1号投資事業組合の名前は。
知らなかった。
──出資比率は。
聞いていない。宮内さんの話によると、ほとんどがイーバンクからの出資だと思っていた。
──クラサワとイーバンクへの出資が連動しているという認識はなかったのか。
そうですね。
──(LDからLDFに5億円を融資する稟議書の社長欄のサインが示される)覚えがあるか。
はい。LDFが何に使うかは知らなかった。
──想像もつかないか。
何かのファンドを作りたがっていた。たぶんそういう話があったと思う。
──決済は取締役会の承認が必要となる。記憶はあるか。
その記憶はないんですね。
──05年11月19日の取締役会の議事録を見ると、株式分割も決められたことになっている。
たぶん帰国後の会議だと思う。空港にいる時、熊谷から電話がかかってきて「100分割してもいいですか」と言われたことは覚えている。センセーショナルでびっくりしたが、30分ぐらい考えてOKを出した。会議には間に合わず、電話参加したのではないか。
──宮内さんも電話参加となっていますね。
それも記憶にない。
──押されているハンコは堀江さんのはんこか。
違います。管理部で保管しているハンコではないか。通常、取締役会では代表取締役印を押すと思う。どうしてこの印鑑が押されているのかわからない。
──(口座開設に関するメールが示される)
見ていない。「口座開設しました」という題名を見て、そもそも開かない。
──(戦略会議の資料のメールが示される)このメールは読んだか。エクセルファイルがついているが。
そうですね。
──添付ファイルには8億8000万円の有価証券管理収入が計上されてるいるが。
確認していない。個別の銘柄について、戦略会議で話し合うことはない。
──その8億8000万円の中に、LD株売却益が入っているとわかったか。
わかりません。戦略会議でも説明がなかった。
ウェッブキャッシング・ドットコム買収について
──ウェッブキャッシング・ドットコムについて当時知っていたことは。
ネット上の消費者金融について、比較サイトを開設していた。(宮内被告とは別の)宮内さんが社長をしていた。買収して4割の株をニッシンに渡さないといけない。LDのポータルサイトとドメインが違うのでどうしようかと思っていたが、最終的にはライブドアマーケティング(LDM)に売った。
──ウェッブ社の相手方が現金買収を希望していたことは。
聞いていない。
──(ウェッブ社に関する資料を示される)定例会議で見た覚えは。
ありません。
──今見ているスキーム図はあなたに説明されるべきものか。
違うと思います。関係ないから。私が判断することが書いてない。ニッシンに40%渡していいかどうかや、株式交換でいいかは私が判断することだが。
──その会議で、(被告の)宮内さんは「クラサワと同じスキームでやりますから」と言った、と証言したが。
なかったと思います。
──スキームの説明は、他の案件でもされていないのか。
株交でやるとか、ざっくりとした説明は受けるが、現場の話を私にされても困る。
──03年12月にはモリモビルにいたが、あなたは4階、宮内さんらは2階。しかも、03年12月には宮内さんらはイーバンクに出向していた。
そうですね。
──そのような時期にあなたを訪ねてくることがあったとは思えないが。
ないですね。そもそもモリモビルにいた頃、宮内さんが僕の席に来た記憶がない。
──宮内さんは「株下がっちゃったら損しない?どうしよう」としきりに心配していたと言っていたが。
ないです。宮内さんが株価を動かせるわけではないので、そんな話をする自体ナンセンスだと思います。
──(03年12月10日にLDFのM&A元担当の証人がメーリングリストに送信したメールが示される)添付ファイルは見ているか。
おそらくそう。
──添付ファイルは通常見ないのでは。
暇だったんじゃないですか。
──12時29分、3分後に返信している。
メールは大量に届くので、取り込みだけで10−20分かかることが多い。まず、メールが届いてから10−20分後でないと対応できない。このメールは3分後に対応しているので、この前にメールの処理が終わっていることが考えられる。
──(堀江被告のスケジューラーが示される)12月10日の午後は14時から最初の予定が入っている。
そうですね。おそらく午前の予定が早く終わって、この時はメールの処理をゆっくりやっていたのでは。何度も受信ボタンを押して。
──19時34分に中村さんからCCでメールが送られている。件名は「ウェッブ・キャッシング」。これは。
見たことないですね。
──(03年12月8日のスケジュールが示される)19時出発、19時半から会食となっている。
どういう会食か覚えていない。ブログとか読めばわかるかもしれない。
トライン買収について
──当時、トラインについて知っていたことは。
コンパニオン派遣会社。岡本さんが欲しがっていた。たぶん株交で買った。そうそう、あと赤字だった。
──株主がAさんという女性だったことは。
Aという名前は覚えていない。若くない女性だったことは覚えている。
──Aさんが現金買収を希望していたことは。
知らない。
(つづく)
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クラサワコミュニケーションズ買収について
──(2003年10月に行われた宮内亮治被告、塩野誠氏、MKSパートナーズのY氏によるミーティング結果の報告メールと、それに対する堀江被告の返信メールが示される)少なくとも開いてはいる。内容的に覚えがあるのは。
──インラインで返答しているのは見ているか。
そりゃそうでしょうね。
──旧経営陣と従業員の処遇は。
社長は残っていた。リストラしたいというのもなかったので、(従業員も)そのままじゃないか。
──旧経営陣、従業員の処遇を決めたのは。
社長(の処遇)の判断は多少私。従業員はM&A担当者じゃないか。クラサワはボーダフォンの代理店だった。
──議事録の中身は読んだか。
企業価値は8億円ぐらいだったと思う。
──株式交換で発行するライブドア(LD)株の株価算定は「12万円もしくは株式交換の契約締結前日の東証終値の、どちらか高い方」となっているが。
覚えていない。関心ないから。私が知るべきことではないから。自動的に株価が決まると思っていた。
──どういうことか。
基本的にはM&A担当者が合理的に決めるのだろうと思っていた。
──「決まりました」とあるが、事後報告か。
そうですね。決定は取締役会です。
──(塩野氏から熊谷史人被告へのメールが示される)「ロックアップがあるので、3月16日以降でないと新株が発行出来ない」とある。
このメールは覚えていない。この前に増資したのでロックアップがかかっていると思うが、その間、私を含めて株を売れないと増資の時の契約書に書いてあった。
──メールを読む基準は。
仕事の忙しさによる。メーリングリストは題名だけ読むとか。
──(クラサワのことをカーターと呼ぶメールが示される)
覚えはないが、クラサワのことをカーターと呼ぶのは知っていた。なんでこんな名前付けるのかな、バカ。格好つけてんじゃねーよ、バッカじゃねーのと思った記憶はある。
──(メーリングリストに送られたクラサワの契約書が添付されたメールが示される。CCで堀江被告にも送られていた)
見た記憶がない。ここで私が契約書をみても仕方がない。顧問弁護士の角家先生とかが詰めればよく、私は最後の承認をすればいい。見ている暇がない。
──(塩野氏がメーリングリストに送ったメールが示される)
見た覚えはない。弁護士の角家先生と塩野のやり取りを見ても突っ込みようがないので、見なかった。
──(03年11月18日に塩野氏がメーリングリストに送信した出資に関するメールが示される)
見ていない。この時は仕事でラスベガスに行っていた。
──いつごろからか。
この2−3日前。その前には中国に行っていた。
──海外出張中はメーリングリスト宛のメールは読むのか。
仕事の忙しさによる。基本的にメーリングリストまで手が回らない。インターネット回線も日本より遅く、開くだけでも時間がかかる。僕宛のメールは見るが、メーリングリストは後回しにし、読まないことも多い。
──03年10−11月にイーバンクとライブドアファイナンス(LDF)でファンドを作る話があったのは知っているか。
それは知っている。
──EFC1号投資事業組合の名前は。
知らなかった。
──出資比率は。
聞いていない。宮内さんの話によると、ほとんどがイーバンクからの出資だと思っていた。
──クラサワとイーバンクへの出資が連動しているという認識はなかったのか。
そうですね。
──(LDからLDFに5億円を融資する稟議書の社長欄のサインが示される)覚えがあるか。
はい。LDFが何に使うかは知らなかった。
──想像もつかないか。
何かのファンドを作りたがっていた。たぶんそういう話があったと思う。
──決済は取締役会の承認が必要となる。記憶はあるか。
その記憶はないんですね。
──05年11月19日の取締役会の議事録を見ると、株式分割も決められたことになっている。
たぶん帰国後の会議だと思う。空港にいる時、熊谷から電話がかかってきて「100分割してもいいですか」と言われたことは覚えている。センセーショナルでびっくりしたが、30分ぐらい考えてOKを出した。会議には間に合わず、電話参加したのではないか。
──宮内さんも電話参加となっていますね。
それも記憶にない。
──押されているハンコは堀江さんのはんこか。
違います。管理部で保管しているハンコではないか。通常、取締役会では代表取締役印を押すと思う。どうしてこの印鑑が押されているのかわからない。
──(口座開設に関するメールが示される)
見ていない。「口座開設しました」という題名を見て、そもそも開かない。
──(戦略会議の資料のメールが示される)このメールは読んだか。エクセルファイルがついているが。
そうですね。
──添付ファイルには8億8000万円の有価証券管理収入が計上されてるいるが。
確認していない。個別の銘柄について、戦略会議で話し合うことはない。
──その8億8000万円の中に、LD株売却益が入っているとわかったか。
わかりません。戦略会議でも説明がなかった。
ウェッブキャッシング・ドットコム買収について
──ウェッブキャッシング・ドットコムについて当時知っていたことは。
ネット上の消費者金融について、比較サイトを開設していた。(宮内被告とは別の)宮内さんが社長をしていた。買収して4割の株をニッシンに渡さないといけない。LDのポータルサイトとドメインが違うのでどうしようかと思っていたが、最終的にはライブドアマーケティング(LDM)に売った。
──ウェッブ社の相手方が現金買収を希望していたことは。
聞いていない。
──(ウェッブ社に関する資料を示される)定例会議で見た覚えは。
ありません。
──今見ているスキーム図はあなたに説明されるべきものか。
違うと思います。関係ないから。私が判断することが書いてない。ニッシンに40%渡していいかどうかや、株式交換でいいかは私が判断することだが。
──その会議で、(被告の)宮内さんは「クラサワと同じスキームでやりますから」と言った、と証言したが。
なかったと思います。
──スキームの説明は、他の案件でもされていないのか。
株交でやるとか、ざっくりとした説明は受けるが、現場の話を私にされても困る。
──03年12月にはモリモビルにいたが、あなたは4階、宮内さんらは2階。しかも、03年12月には宮内さんらはイーバンクに出向していた。
そうですね。
──そのような時期にあなたを訪ねてくることがあったとは思えないが。
ないですね。そもそもモリモビルにいた頃、宮内さんが僕の席に来た記憶がない。
──宮内さんは「株下がっちゃったら損しない?どうしよう」としきりに心配していたと言っていたが。
ないです。宮内さんが株価を動かせるわけではないので、そんな話をする自体ナンセンスだと思います。
──(03年12月10日にLDFのM&A元担当の証人がメーリングリストに送信したメールが示される)添付ファイルは見ているか。
おそらくそう。
──添付ファイルは通常見ないのでは。
暇だったんじゃないですか。
──12時29分、3分後に返信している。
メールは大量に届くので、取り込みだけで10−20分かかることが多い。まず、メールが届いてから10−20分後でないと対応できない。このメールは3分後に対応しているので、この前にメールの処理が終わっていることが考えられる。
──(堀江被告のスケジューラーが示される)12月10日の午後は14時から最初の予定が入っている。
そうですね。おそらく午前の予定が早く終わって、この時はメールの処理をゆっくりやっていたのでは。何度も受信ボタンを押して。
──19時34分に中村さんからCCでメールが送られている。件名は「ウェッブ・キャッシング」。これは。
見たことないですね。
──(03年12月8日のスケジュールが示される)19時出発、19時半から会食となっている。
どういう会食か覚えていない。ブログとか読めばわかるかもしれない。
トライン買収について
──当時、トラインについて知っていたことは。
コンパニオン派遣会社。岡本さんが欲しがっていた。たぶん株交で買った。そうそう、あと赤字だった。
──株主がAさんという女性だったことは。
Aという名前は覚えていない。若くない女性だったことは覚えている。
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知らない。
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