10月の新経営体制発足後初めての記者説明会を開いたウィルコムの喜久川政樹社長(撮影:吉川忠行)

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ウィルコム(東京都港区)の喜久川政樹社長は15日、東京都港区の虎ノ門パストラルで10月の新経営体制発足後初めての記者説明会を開き、「(携帯電話と比較して)ウィルコムはPHSだから別世界という人がいるが、いい意味での別世界を作りたい」と、独自の特長を生かす方針を述べた。

 同社は8月以降、経常損益ベースで単月黒字を達成。喜久川社長は、規模が巨大なほど有利と言われる通信業界で小規模な会社が反転攻勢できていると自信を示した上で、「他社があきらめる中、十数年前からPHSの可能性を信じ続けた成果が出た。小さくても成長できることを証明するチャレンジ精神と顧客志向の徹底で、使いやすいサービスを実現したい」と抱負を語った。

 携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)が10月24日に始まったことを受けて、同社サービスへの音声通話の新規加入者は1割程度減少したという。この影響について喜久川社長は「その傾向は徐々に戻っている。我々はMNPの対象外だが、070で始まるPHSの番号は、番号でキャリアを識別しにくい携帯電話よりずっと分かりやすい」と、“注釈のいらない”分かりやすさを強調した。同社は10月20日から、定額プランの無料通話の対象者を、ウィルコム以外のPHS事業者を含むすべての070番号にまで拡大している。

 ソフトバンクの“0円戦略”を前面に打ち出した“定額制”についての問われると、「他社のことはあまり言いたくない」と前置きしながら、「我々は夜6時半から報道発表はしない。できるだけ真面目にやりたい」とチクリ。同席した土橋匡副社長も、ソフトバンクの定額制について「(ソフトバンクが“定額制”の対象外として時間制限を設けている)午後9時から午前0時59分に、全トラフィックの55%が集中している。この時間を定額にしないと」と、元祖“定額制”の余裕を見せた。【了】