「ヤフオク」では、転売目的と見られるPS3が大量に出品されている

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   大量の「プレイステーション3」(PS3)がネットオークションで売られている。ヤフー!オークションで「PS3」と検索すると2006年11月13日17:00で約6,340も表示され、PS3本体がズラリと並んでいる。楽天オークションでは最低落札価格1円のものも売られている。しかし、時間とともに人気は失速、購入価格割れが目立つ。PS3は本当に人気があるのだろうか。

   開発の遅れや部品不足で発売が伸びていた「PS3」が11月11日に売り出された。初回出荷は国内10万台と少なく(PS2の時は3日間で約100万台を販売)、次回出荷の日取りが決まっていない。そんなこともあって、11月11日はファン達による「PS3のブン捕り合戦」が繰り広げられた、とメディアは報道した。TVでは徹夜組の映像や、発売のカウントダウンなどがド派手に映し出されたが、週が明けて「ホントにPS3は人気なの?」という疑問が次々出てきた。

時間を追うごとに価格は下がり、入札者も減っていく

   ヤフオクでは、本体がズラリと出品されている。サンケイスポーツが06年11月12日に「ヤフー!オークションには11日、発売されたばかりのPS3が続々と出品され、本体や関連商品で計約4000点に」と報じており、その数は増え続けている。落札価格は人気のバロメーターだが、同紙によると「品薄のせいか出品する側は強気で、開始価格を店頭販売価格の倍以上の10万円以上とするケースがザラ。20万円での落札があったほか、高値売り抜けの嫌がらせ目的で億単位で入札された例もあった」そうだ。

   では、11月13日17:00時点ではどうか。発売当初は、60ギガのハードディスク搭載が最高価格79,000 円(一般小売価格59980円。入札者39人)、90,000円(同。25人入札)と高値が付いている。しかし、時間を追うごとに価格は下がり、入札者も減っていく。06年11月 11日 19時 26分に入札開始された20ギガ搭載のものは、店頭販売価格と同じ49,980 円からオークションが始まったが、入札者はゼロ。それ以降も店頭と同じ価格でも入札者ゼロが続き、06年11月 11日 20時 45分に出品された20ギガ搭載のものは、入札終了5時間前で、最高価格は32,500 円と購入価格割れ(入札者が20人)している。やがて、入札開始価格が1円、100円からスタートするものが多くなり、最終的な落ち着きどころはわからないが、20ギガが30,000円、60ギガが20,500円というものまで出てきている。

発売初日のフィーバーぶりは、「転売」目的

   「PS3」と同時に発売されたゲームソフトは僅か6本。最大のウリであるブルーレイディスクの映像ソフトも揃っていない。だからネット上でも「今、PS3を買っても、何で遊ぶの?」といった疑問が出ていた。買ってすぐにオークションに出したくなる気持ちもわかるような気がするし、安い価格でオークションに登場しても買いたい気持ちにならないのだろう。

   一方で、ヤフオクでは、出品商品は「未使用」「新品」という表示が多い。つまり、オークション出品者は最初から転売目的だった可能性が強い。品薄だから高く売れると考えたとしても不思議は無い。となると、テレビなどで報じられた発売初日のフィーバーぶりは、ファンのものというより、「転売」目的による騒ぎだった可能性もある。
朝日新聞の06年11月12日付けの紙面はこう報じている。

「福岡市博多区の『ヨドバシカメラ マルチメディア博多』。200台の販売数に対し、前夜から400人が押しかけた。店によると、その大半が中国人とみられた」
「『元締』らしき男性の指示を受け、PS3を次々に購入。買ったばかりの商品を袋に入ったまま店内の一角に置き、『元締』からアルバイト代とみられる金を受け取って立ち去っていった」

   もっとも、「転売」目的だとしても、成功したかどうかは疑問だ。