「ちば」と「さいたま」 どっちがダサイ

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   千葉県が2006年11月2日に発表した、ひらがなの新しいロゴが大きな話題を呼んでいる。「垢抜けない」イメージからの脱却を狙ったものの、県民には大不評で、県庁には苦情が相次いでいる。「さいたま(市)」と同じひらがなということに違和感を持っている人が多いらしいが、なにかにつけて互いに意識しがちな両県の関係が投影している。

   千葉県が発表した新しいロゴは、ひらがなで「ちば」、モノトーンのシンプルなデザインになっている。県総合企画部は、

   「様々な魅力を持ちながらも、県全体としては垢抜けないなどと言われることもあった千葉県のイメージの一新を目指して、統一的に活用する新しいロゴを作成しました」

   と発表している。

今後ポスターや県の刊行物などに活用される

   このロゴを製作したのはグラフィックデザイナー仲條正義さんで、資生堂宣伝部を経て、広報誌「花椿」のデザインを手がけた。数々の賞も受賞しており、デザイン界ではまさに重鎮。このロゴはすでに「千葉ブランド水産物認定マーク」に使われたほか、今後ポスターや県の刊行物などに活用されるという。

   しかし、千葉県民からはあまり評判が良くないようだ。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のmixiで、千葉県関連のコミュニティ・千葉出身または千葉在住のユーザーの日記では次のようなコメントが並ぶ。

「やる気なさすぎ…うすっぺらいなぁ。他県と並んだらちょっとはずかしいかも」
「某さいたまさいたま市みたいにちば市になりませんように。ちば市になったら県民やめます、マジで。ひらがなにすればいいってもんじゃねえんだよおおおおおおおおおおおおおおおお」
「どーせだったら市名も平仮名にしちゃいなよ。さいたまみたいに」
「俺にはどこが洗練、イメージ一新なのかわからない…ダさいたま市と何も変わらんのでは…」
「ダサいってレベルじゃねぇぞ!」
「元千葉県民として、微妙な気持ちになった。これはカッコ悪いんじゃないかい?」

   「ダサい」「カッコ悪い」のほかに、「さいたま(市)」と同じひらがなということに違和感を覚える人が多いようだ。

埼玉「彩の国」意識して、漢字を避けた?

   千葉県総合企画部によると、06年11月13日午後時点で一日7〜8件の電話、メールでは100件単位で新しいロゴについての問い合わせがあり、そのほとんどがロゴに対して批判的な意見だという。総合企画部広報担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、

「デザインをやっている人たちには好意的な評価をいただいていますが、(これだけ反響を呼ぶのは)意外だった。意図していたところを踏まえると、広報効果としてはあまり…」

   と、複雑な心境のようだ。
   もっとも、批判的な意見が集中するのはロゴが「ひらがな」であるところ。担当者によれば、ロゴをひらがなに決めたのは千葉県側だったという。それでは、なぜひらがなを採用したのか。
   堂本暁子知事は新ロゴを発表した記者会見で次のように語っている。

「まあ、例えば埼玉県は『彩の国』というようなかたちで売ってますけれど、そういった形で何かあだ名をつけたり、漢字を使ったり、色を使ったり、というのではなくて、そういった多様な千葉の持っているパワーをむしろこうしたデザインに凝縮しようということで、仲條さん、たびたび修正に修正を加えて、これをつくってくださいました」

   つまり、千葉県が埼玉県の「彩の国」を意識して漢字を避けたら、今度は「さいたま(市)」と同じひらがなということで、これまた県民から大ブーイングというわけらしい。

「個人的には、埼玉、千葉というのは首都圏なのに田舎というイメージですから、(千葉の人が埼玉を意識しているのは)昔から言われています。『何でこれと同じなんだ』と悪さで比較するときは必ず『埼玉』。今回の批判もそういったことを受けてのことかもしれませんねぇ」

   千葉県庁の関係者はこういって、苦笑する。