06年「東京都エイズ予防月間」のキャッチフレーズ。(提供:東京都)

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通常の性行為によるエイズ感染が増えていることなどを受けて、「エイズは他人事ではありません 私たちの問題です」というキャッチフレーズと共に「東京都エイズ予防月間」が16日から都内で始まる。12月15日まで。

 毎年実施される都のHIV感染者調査では、性的接触による感染が10年前に比べて約3倍に増加。20─30代のHIV感染者が増えており、03年から10代の青少年の感染者数も微増傾向にあることなどから、都では、若い人たちに対する啓発活動に力を入れている。

 HIVに感染しない安全な性行為として、性的接触をしない「ノーセックス」、パートナーが共にHIVに感染していないことを確認する「セーフセックス」、相手や自分が感染確認を取れない場合に、コンドームを使用する「セーファーセックス」の3つが勧められている。1回のセックスで感染する確率は1%未満といわれるが、その1回の性交渉で感染する人がいる以上、両者のHIV感染がないことを確認できなければ、セックスをしないかコンドームを使うかのどちらかしか選択肢はないというのが専門家の立場だ。

 HIV感染は、潜伏期間が7─10年と長いため、感染しているかどうか本人さえ分からない。もし、検査を受けてHIV感染を早期発見できれば、治療によってエイズ発病を遅らせ、また、セックスのパートナーに感染させない行動の選択などが取れる。「保健所に行くのに抵抗がある」という人のために、都は、都・区の保健所など34カ所でHIVの検査や相談を匿名・無料で実施している。プライバシーが守られるので、電話で相談・検査予約などして保健所へ出向けば、終始匿名で扱われるため「恥ずかしい」という思いは避けられるはずだ。

 万が一、HIVに感染していることが分かった場合、告知を受けた医師などからカウンセリングを受け、一方で、感染しても発病するまでは、それまでと変わらない生活ができるという。都の福祉保健局・野原永子副参事は「エイズに対して正しい知識を持ち、HIV感染に不安を感じる人は、電話相談などを利用してエイズ検査を受けてほしい」と呼びかけている。 

 1981年に米国で初めてエイズ患者の報告がされて以来、年々増え続けるHIV感染者は、全世界で4030万人といわれている(WHO・UNAIDS 2005年末推計)。日本でのエイズ患者・HIV感染者の総累積数は既に1万を超えている(厚生省06年1月調べ)。【了】

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