外国特派員協会で講演を行ったイーホームズの藤田元社長(撮影:東雲吾衣)

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耐震偽装事件を最初に告発したとされる確認検査機関イーホームズ(東京都、廃業)の藤田東吾元社長(45)が9日、東京都千代田区の外国特派員協会で講演を行った。「この事件は、表面的にはある設計士が、制度上の欠陥で耐震偽装をしたというものだが、問題の本質は“隠蔽する日本の体質”にある」と、あらためて日本の建築・建設行政に苦言を呈した。

 藤田元社長はこれまでネット上などで、耐震偽装問題について「法的には、確認検査制度の問題ではなく大臣認定制度の問題」などと主張。この日も「日本のシステムが有効に機能しているならば、解決されるのが当然」と厳しく批判した。

 また、行政側の問題に加え、構造設計士側の問題としても「罪の意識はなく、ひとつのノウハウとして構造計算書を偽造してきたと思う。設計の中では構造は一番最後になるし、時間がない。だから適当に改ざんして作った方がいいという文化や風土が蔓延(まんえん)していた」と話した。

 同社長は加えて、「耐震偽装した建築物はほかにもある」と主張。具体的な所在地や建物名を明らかにし、「大地震が起きていない今だからこそ、全棟検査をしなければならない」との訴えに理解を求めた。

 藤田元社長は、耐震偽装事件で架空増資をしたとして電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪で懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決を受けており、2日までに有罪が確定している。【了】