30日、日本外国特派員協会で講演する中国民主化運動のシンボル魏京生氏(撮影:佐谷恭)

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中国民主化運動のシンボル的存在である魏京生氏は30日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演し、「アジアの安全保障のため日本は責任ある役割を果たすべき」との見解を示し、中国との関係を経済だけに限定せず、人権と民主化の問題に注視してほしいと語った。同氏は、1970年代末の中国の民主化運動の中核を担い、計18年間も政治犯として投獄された経験も持つ。

 魏氏は「民衆から支持されない(中国)政府は、不安定な国内にある問題を戦争で解消しようと思っている。台湾や韓国との戦争を長い間準備しているし、日本を標的とした核兵器を作らせるために北朝鮮を支援した」と主張。これまでの朝鮮戦争、中印戦争、中越戦争などは民衆の不満をそらすために引き起こされたもので、現在は次の戦争を起こすための機を伺っている状況だと解説した。

 その上で、「日本は十分に力のある国なので、アジアの安定のために責任持って行動することを明確に表明するだけでも、中国に対する牽制になる」と“大国”日本への期待を述べた。一方で、その責任を果たす前に国連安保理の常任理事国入りを目指す姿勢には疑問を呈した。

 米ヤフーなどが中国政府の求めで検閲や情報監視に協力しているとされることについては「強く抗議する。利益のために政府に加担するのではなく、こうした犯罪行為をどう防ぐか、多国籍企業は考えるべきだ」と語った。さらに、「不幸なことだが、米の政治家や官僚でも中国のための発言を繰り返す者がいる。利益を得ている会社がロビー活動をした結果がこれで、アメリカの民主主義はお金に大きく左右されている」と指摘した。【了】

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