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衆院補選勝利でも問われる安倍自民党の品格

【PJ 2006年10月24日】− 22日に投開票が行われた衆議院議員の2つの補欠選挙は、神奈川・大阪ともに自民党が勝利した。安倍政権が発足して初めてとなる国政選挙での勝利で、首相周辺はひとまず胸を撫で下ろしているところであろう。だが、小選挙区制度の下で自民・公明両党が連携した選挙であったことや、政権の真価を問うにしては余りにも低い投票率であったことを考えれば、そもそも与党側が勝利して当然の選挙だったのであり、これで「安倍政権が信任された」と喧伝するのは我田引水、論理のすり替えであろう。

 党役員人事と組閣の段階から「仲良しグループを集めた」とか、「軽量内閣」などと、野党側からの陰口も聞かれる安倍政権であるが、ここへ来て自民党の中川昭一政務調査会長の暴言が目立っている。各種メディアの伝えるところによれば、中川政調会長は20日、静岡県浜松市で講演し、北朝鮮が日本に核攻撃をする可能性について「北朝鮮はミサイル実験や核実験を行い、拉致事件を起こした。北朝鮮の指導者は、ごちそうばかり食べ過ぎて糖尿病だから、そうしたことを考えるかもしれない」と発言したうえで、日本の核保有の必要性を含めた安全保障のあり方を議論すべきだという見解を示したという。

 この発言には、4つの重大な問題がある。一つは、糖尿病は「ごちそうばかり食べ過ぎた結果かかる病気」という認識を示している点。非科学的であるばかりでなく、糖尿病に苦しむ患者への偏見を助長する発言である。第2に、「糖尿病だから、核攻撃をしようと考えるかもしれない」というロジック。「糖尿病患者は何を考えだすかわからない」というのは、もはや偏見を超えて「虚偽情報のねつ造」にも近い。3つ目は、そもそも北朝鮮の指導者が糖尿病患者であるかどうかという前提が、中川氏の憶測ないし比喩の部類なのであって、客観的事実に基づくものでないこと。そして、最後に、こうした無責任な事実認識と偏見の上に立って、「日本の核保有の議論」を推進すべしという結論を導き出そうとしていることである。

 また、毎日新聞が23日に報じたところによると、中川政調会長は毎日新聞のインタビューに対し、教員免許の更新制度に関連して「日教組の一部活動家は(教育基本法改正反対の)デモで騒音をまき散らしている」としたうえで「下品なやり方では生徒たちに先生と呼ばれる資格はない。免許はく奪だ」と述べ、教員の組合活動を強く批判したという。「デモ」を下品と言ってしまうところに、中川氏の政治的センスがある。教職員が労働者としての権利を主張したら、生徒たちに先生と呼ばれる資格がなくなるのだそうだ。

 さて、この中川氏であるが、元来、彼のの酒浸りは、マスコミの政治部系記者の間では有名な話だと聞く。私の知人で、長年、国会担当経験がある記者も同様の話をしていた。農相時代の中川氏の記者会見は、目が血走り、吐く息が酒臭かったこともたびたびで、発言の暴走には“酒のせい?”と感じることが多かったそうだ。ところが、ちょうちん記事の作成を強要されることに慣れ切っている大手マスコミの記者諸氏は、こうした事実を国民に知らしめるような記事の執筆には、どうやら及び腰のようである。

 安倍政権が彼を党の政調会長に据えたのは、自民党総裁選での論功行賞やタカ派仲間としての意識によるものと推察するが、このまま現職閣僚にしておくのは危険だと考えて党三役にまわしたと見ることもできなくない。それでも、こうした人物を党三役に入れることを是とする安倍政権は、やがて政権自体の品格を問われることになろう。「美しい日本」は酒臭く、政治家の暴言が飛び交っても首相がすべて容認する国となるのか。中川政調会長が「下品な発言」で重要ポストの資格を失ったり、国会議員の先生と呼ばれなくなったりしないようご忠告申し上げるとともに、合わせて中川氏がいつの日か糖尿病になどならぬようお祈り申し上げたい。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 成越 秀峰【 神奈川県 】
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