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武富士はなぜノーベル平和賞をもらえないか(下)

【PJ 2006年10月18日】− (下)「たった6ドルが人生を変えた」。
(中)からのつづき。ただ「連帯責任」はある種、相互監視の仕組みでもある。グラミン銀行のグラミンは農村の意味である。ムハマド氏は事業化の当初まず、農村部の女性を対象にした。経済的自立のニーズが最も切実だったからだが、同時に農村のコミュニティがあるため、相互監視がよく機能した、ともいえる。家庭があるので女性は逃げられない。だから村八分にならないためには必死で働くしかない。

 運用を間違えると、人によっては社会的に辛い立場に追い込まれることもあったようだ。これまでは借金取りにいじめられたら、みんなが同情してくれただろうが、こんどは「5人ほどのグループ」が逆に借金取りになることだってあるからだ。「グラミンなんか使わない、あんなところで借りたらおしまいだ」というような声も一部にはあるそうだ。この辺は、昨今の日本の消費者金融の事件を連想させる。

 しかし、事業資金への信用供与(=無担保での融資)という点が、「消費」者金融と違うところだ。「たった6ドルが人生を変えた」。この逸話にグラミン銀行の原点がある。ある日、ユヌス氏は竹細工の制作と販売で生計を立てていた女性に出会った。 高利貸しに材料費を頼っていたため、彼女の儲けは1日2セントにしかならなかった。

 ユヌス氏は彼女に、高利貸しに頼らずにやっていくにはいくら必要だとたずねた。すると6ドルという答えが返ってきた。 そこでユヌス氏は6ドルを貸すことにした。そのお金を仕入れ資金として運用することで、「ビジネス」が「成長」に向け回転を始め、利益は1日2セントから1ドル25セントにまで跳ね上がった。援助ではなく、融資が、経済的自立を実現した瞬間。

 たった6ドルが彼女の人生を変えたのだった。坂本龍一らの「apbank」の、志の背景もこういったことにある。  

 2000年の国連サミットで、貧困や飢餓の撲滅、初等教育の普及、妊産婦や乳幼児死亡率の低下を目指す国連ミレニアム開発目標(MDG)が採択された。草の根から貧困撲滅の実績をあげたユヌス氏とグラミン銀行に改めて国際的な脚光があたる意義は大きい。【了】

■関連情報
ノーベル平和賞のユヌス氏、出発点は74年の大飢饉
貧民銀行
ミレニアム開発目標(MDGs)とは

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パブリック・ジャーナリスト 神宮司 信也【 東京都 】
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