10日、都内でトヨタ「カローラ」の10代目を発表する渡辺社長(撮影:常井健一)

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トヨタ自動車<7203>は10日、主力量産車「カローラ」を6年ぶりに全面改良した10代目を同日から発売すると発表した。東京・お台場にある同社のショールーム「メガウェブ」で開いた記者会見で、渡辺捷昭社長は「『新しい尺度』というテーマで、思い切っていろんな新しい魅力を備え、大きくモデルを変え、クルマとしての価値を高めた」と強調し、50・60代が中心の顧客層へより若い世代も取り込んでいくことに意欲を示した。

 「カローラ」は、排気量1.1リットルの新型エンジンを搭載したファミリーカーとして1966年に初代が発売され、2000年発売の9代目まで時代の変化に合わせて改良を重ねて、同社の主力車種に成長。現在では世界16カ国で生産、140の国と地域で販売されており、発売40年の累計販売は3200万台に迫る。

 10代目では、セダンタイプに新車名として、ギリシア語の「AXIA」(価値あるもの・品質)に由来する「アクシオ」と命名した。「アクシオ」、同時発売のワゴンタイプ「フィールダー」ともに、全高を10ミリ下げたことで、頭上の空間を広げ、快適性を追求した。

 エンジンは従来型と同じ排気量1.5リットル、直列4気筒の「1NZ-FE」と、「今後のトヨタの主力エンジンとして新開発した」(渡辺社長)という排気量1.8リットル、直列4気筒の「2ZR-FE」の2種類を設定。一部車両で自動無段変速機と組み合わせ、ガソリン燃料1リットルあたりの走行距離が17.2─18.2キロという低燃費と高い走行性能の両立を実現したとしている。
 
 安全面では、「アクシオ」に後部の状況を映し出すバックモニターを標準装備。周囲の安全確認とブレーキ操作による速度調整だけでハンドル操作せずに車庫入れを支援する「インテリジェントパーキングアシスト機能」、人や障害物への衝突など危険を警告し、回避操作を支援する「プリクラッシュセーフティシステム」など、これまでレクサスなど上級車種にのみ設定していた機能を、一部車両に搭載した。

 「アクシオ」の税込価格は、1.5リットル車で140万7000円─187万9500円、1.8リットル車で199万5000円─233万1000円、「フィールダー」は1.5リットル車で151万2000円─204万7500円、1.8リットル車で195万3000円─222万6000円。

 生産拠点は同社高岡工場(愛知県豊田市)、関東自動車工業・東富士工場(静岡県裾野市)と、新たにセントラル自動車・本社工場(神奈川県相模原市)を加えた3工場体制を敷く。渡辺社長は「(専務時代の2000年に導入した部品調達コストの削減策)CCC21の集大成に近い」として原価低減の成果をアピールした。国内の月販目標台数はそれぞれ6000台、2車種で合わせて1万2000台を見込んでいる。

 国内自動車市場は、原油高などを背景に軽自動車に人気が集まっている反面、各メーカーとも登録車の販売不振にあえいでいる。渡辺社長は、最近の市場動向について「軽や中古車などやや価格の低いクルマが出回り、登録車がやや低迷している」と分析。新カローラの投入で、同社としては「アクシオ」が属する小型セダン市場(月販1万3000台規模)でシェア50%の現状維持、「フィールダー」擁するシェア40%弱の小型ワゴン市場(同1万2000台規模)で40%以上に向けた拡販をねらう。【了】

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