「サプライズなし内閣」の紹介に各紙が知恵を絞る

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   2006年9月26日に発足した安倍新政権は、「論功行賞ろんこうこうしょう内閣」となった。小泉内閣で組閣が行われる際には注目の的だった「サプライズ人事」も、今回はほとんど無し。「人間模様」を独自の切り口で報じるのが得意なスポーツ紙や夕刊紙は、この「サプライズなし」に無理無理知恵をしぼったようだ。

見出しに「つゆだく大臣」「酒豪経財相」や「ゴレンジャー」

   新任閣僚の中で、最も注目を集めたのが、高市早苗・沖縄北方担当相だ。就任会見で頻繁に汗を拭う様子から「ハンカチ王女」(サンケイスポーツ)「つゆだく大臣」(スポーツ報知)などど「命名」された。

   スポーツニッポンは、大田弘子・経済財政担当相が鹿児島県出身で、以前のインタビューで「好きなのは芋焼酎」と話していたことから、「酒豪経財相 飲めない安倍首相を支える!!」という見出しを立てた。

   夕刊フジは、官房副長官(事務)に抜擢された的場順三氏のことを、「戦う官房副長官」「2代目カミソリ」などと評している。これは、中曽根内閣などで内政審議室長を務めた時に、「カミソリ後藤田」と呼ばれていた故・後藤田正晴氏の薫陶を受けたことが理由だ。

   スポーツ報知は、小池百合子前環境相や、自民党の広報戦略を担当する世耕弘成参院議員などに白羽の矢が立った「首相補佐官」の人事に着目した。今回就任した補佐官は5人だということから、こんな見出しが躍った。

閣僚より『ゴレンジャー』頼み!?

   小泉内閣時代から、激しい言葉で政権を批判してきた日刊ゲンダイは、「論功行賞人事」に対して、「お粗末軽量 信念無き党三役・内閣の顔ぶれ」という見出しで批判した。

新聞各紙は冷めた見方が大勢

   では、一般紙はどうだろうか。やはり各紙とも、顔ぶれに目新しさがないことを指摘している。

   朝日新聞読売新聞毎日新聞は、今回の人事を「論功行賞」という言葉を使って批判、特に朝日新聞は「NHKの大河ドラマ『功名が辻』の現代版かと思わせるような分かりやすさ」と皮肉った。

   最も批判的だったのは毎日新聞。

「新内閣の布陣からは首相の若さに起因する清新なイメージも、小泉政権から引き継ぐべき改革への熱気も感じられない」

   一方、産経新聞は「老壮青のバランスに配慮」、日経新聞は「ベテラン議員と安倍首相に近い中堅・若手を内閣・党に配した実務型」と、若干抑え気味な言葉使いだ。

   各紙が新内閣の政策の不透明さを指摘する中で、読売新聞は、このように新内閣への期待を表明したのが際だっていた。

「新憲法制定へ、首相の主導で大きく前進させねばならない」