13日、東京・渋谷で「ベーカリーセミナー2006」が開かれ、講師のドミニク・サブロン氏(中央)が最新のフランスパン事情を解説した。(撮影:久保田真理)

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「本場のパンづくりを学ぼう」と日本製粉<2001>は13日、東京都渋谷区の同社東部技術センターで「ベーカリーセミナー2006」を開催した。全国から大手・個人製パン業者約70人が参加し、最新のフランスパン事情や技術を学んだ。

 講師を務めたフランス人のドミニク・サブロン氏は、自身のベーカリーで販売するバゲット(フランスパン)など5品の作り方を実演しながら解説した。サブロン氏は添加物などは使用せず、天然酵母を使ってパン作りを続けているという。その理由については「パンを食べた後の余韻を楽しんでほしいから」とコメント、味や香りにこだわる自身の“パン哲学”を披露した。また、原料として有機栽培の小麦を好む理由についても触れ、一般的な小麦とまったく違う味で、石臼でひくと香りがよい点などを挙げた。参加者からの「バゲットの焼き色が薄くなってきているのは本当か」という質問に対しては、「個人的には黄金色に焼いたバゲットが好きだが、それでは売れないので、お店ではあまり焼いていない」と消費者の好みを重視した“内情”を打ち明けると、会場が笑い声に包まれる場面も。

 参加した横浜市の女性(32)は、「有名店であるにもかかわらず、(手間のかかる)天然酵母を使用していることに驚いた。以前は菓子パンや柔らかいパンが売れ筋だったが、最近は若い女性を中心に、食事パンや全粒粉などを使用したパンが人気なので、今日学んだ技術をぜひ取り入れたい」と成果があったことを強調した。

 同社は、健康志向の高まりを受け、スローフードにヒントを得た“スローブレッド”を提唱。ヨーロッパでは穀物やナッツを使用したパンや伝統的な製法のパンの人気が高いことから、今回セミナーを開催した。同様のセミナーが15日に同会場で、19日に神戸で開かれる。【了】

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