今週のお役立ち情報
マイケル・ミリケンとホリエモン
2006年09月11日05時50分 / 提供:PJ
【PJ 2006年09月11日】−
9月6日付英フィナンシャル・タイムス(FT)紙にライブドア元社長の堀江被告に関する興味深い署名論説記事が出ていた。タイトルは「「Why Horie could be Japan's Michael Milken」。堀江被告と米国のジャンク・ボンド市場を創設し巨万の富を得たマイケル・ミリケン氏とを比較して論じている。
マイケル・ミリケンというのは、1987年に封切られたマイケル・ダグラス、チャーリー・シーン主演の映画「ウォールストリート」のモデルになったといわれる、証券会社にいた人物で、その証券会社は、ミリケン氏逮捕などをきっかけに倒産している。こうした人物と堀江被告とを比較して論じるところがFT紙のユニークなところだ。
FT紙の論点
FT紙は、積極的な企業買収を行って巨額の利益を得た両者の共通点として、(1)既存ビジネス界を怒らせた。(2)インテリ層からはその(金儲け一辺倒の)モラルのなさの故に敵意を受けた。さらに、(3)検察当局から厳しい追及を受け起訴された(ミリケン氏は裁判で有罪確定)との共通点を挙げる。ただし、両者ともそれぞれ革新的な金融手法ーミリケン氏はジャンク・ボンド、堀江氏は大規模な株式分割ーを使って成功したとそれぞれに一定の評価を行っている。
その上で、ライブドア・堀江被告が日本の株式市場で行い、今回起訴されるきっかけになった事件を解説する。同紙が注目した主なライブドアの行為は、(1)何回かの100対1の大幅な株式分割。(2)数が増えた株式を利用し、株式交換を通じての多くの企業買収の実行。(3)そして、そのためライブドア株を魅力的にするため「粉飾決算」を行った、と堀江氏らが起訴された要因を解説している。
同紙は、堀江被告が有罪か無罪かについての判断は保留しながらも、堀江氏は小泉首相が目指していた日本経済の回復ー日本経済のアメリカ化ーの役割の一翼を担っていたと分析。さらに、フェラーリを乗り回し、グラマーなガールフレンドと遊ぶという日本的な伝統を破った堀江氏の個人的生活を紹介している。
最後に、ミリケン氏の開発したジャンク・ボンド市場は、米国のコングロマリットの分割を促すなど米国経済に好影響を与えており、彼の処罰は宗教的迫害のようなものだという声が多いことを紹介。一方、堀江氏の日本経済に与えた影響を評価するにはまだ早すぎるが、堀江の経歴を傷つけたのは、損を出して頭に来た日本の投資家達ではなく、熱心な検察当局者達であると結論付けている。
ミリケン氏の「その後」とホリエモンの将来
映画「ウォールストリート」でカーク・ダグラス演ずる大物投資家ゲッコーとチャリー・シーン演ずる証券マン・バドは、インサイダー取引違反容疑で逮捕されるところで終わるが、ホリエモンの将来を占う意味からもミリケン氏の逮捕後の人生について調べてみた。
インターネット上の文献だが、ミリケン氏の「その後」について、いくつか面白い事実がわかった。その中でも、米国の投資関係のHPにあった次の記述には、考えさせるものがある。
「彼は、年間2億ドルから5.5億ドルの報酬を得ており、罰金などを支払っても有り余る金を持っていた。とはいうものの出所後、コンサルタントの仕事を始めた。しかし、これが保護観察期間の行動制限違反と認定され、4200万ドル(約50億円)の罰金を受けた。そして1993年、前立腺がんと診断され、その後は治療に専念すべく表舞台から去っている」(Investopedia.com Michael Milkenより。原文の英語を要約)
そしてさらに検索して驚いたのが、ミリケン氏本人のWEBページが存在していたことである。そのHPによれば、ミリケン氏は、現在、医学研究、教育、ファイナンスの3つの分野に情熱を傾け、いくつかの財団や研究機関を通じて社会貢献活動を行っているという。その中には、自分自身が患っている前立腺がんの研究機関への寄付や経済研究機関の設立・運営なども行っている。
聞くところによると、SBIホールディングスの北尾吉孝CEOも、こうした社会貢献活動に熱心だと聞く。ミリケン氏にせよ北尾氏にせよ、ファイナンスで財を得た人間の大人の知恵ではないだろうか。また、社会貢献活動は、外から見る限り偽善的に見えるが、実際的にやっているうちに、お金儲けや政治よりもリスクが少なく、面白いことが分かってきたのではないかもしれない。
今回のホリエモン裁判の判決後も、堀江氏には新たな民事裁判が控えている。もちろんすべての裁判に勝利する事が最も大切である。ただし、人生には思い通りに動くことばかりではない。そうした場合に備える意味からも、ミリケン氏の「その後」を参考にする意味はあるだろう。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 片岡孝二郎【 東京都 】
この記事に関するお問い合わせ / PJ募集
マイケル・ミリケンというのは、1987年に封切られたマイケル・ダグラス、チャーリー・シーン主演の映画「ウォールストリート」のモデルになったといわれる、証券会社にいた人物で、その証券会社は、ミリケン氏逮捕などをきっかけに倒産している。こうした人物と堀江被告とを比較して論じるところがFT紙のユニークなところだ。
FT紙の論点
FT紙は、積極的な企業買収を行って巨額の利益を得た両者の共通点として、(1)既存ビジネス界を怒らせた。(2)インテリ層からはその(金儲け一辺倒の)モラルのなさの故に敵意を受けた。さらに、(3)検察当局から厳しい追及を受け起訴された(ミリケン氏は裁判で有罪確定)との共通点を挙げる。ただし、両者ともそれぞれ革新的な金融手法ーミリケン氏はジャンク・ボンド、堀江氏は大規模な株式分割ーを使って成功したとそれぞれに一定の評価を行っている。
その上で、ライブドア・堀江被告が日本の株式市場で行い、今回起訴されるきっかけになった事件を解説する。同紙が注目した主なライブドアの行為は、(1)何回かの100対1の大幅な株式分割。(2)数が増えた株式を利用し、株式交換を通じての多くの企業買収の実行。(3)そして、そのためライブドア株を魅力的にするため「粉飾決算」を行った、と堀江氏らが起訴された要因を解説している。
同紙は、堀江被告が有罪か無罪かについての判断は保留しながらも、堀江氏は小泉首相が目指していた日本経済の回復ー日本経済のアメリカ化ーの役割の一翼を担っていたと分析。さらに、フェラーリを乗り回し、グラマーなガールフレンドと遊ぶという日本的な伝統を破った堀江氏の個人的生活を紹介している。
最後に、ミリケン氏の開発したジャンク・ボンド市場は、米国のコングロマリットの分割を促すなど米国経済に好影響を与えており、彼の処罰は宗教的迫害のようなものだという声が多いことを紹介。一方、堀江氏の日本経済に与えた影響を評価するにはまだ早すぎるが、堀江の経歴を傷つけたのは、損を出して頭に来た日本の投資家達ではなく、熱心な検察当局者達であると結論付けている。
ミリケン氏の「その後」とホリエモンの将来
映画「ウォールストリート」でカーク・ダグラス演ずる大物投資家ゲッコーとチャリー・シーン演ずる証券マン・バドは、インサイダー取引違反容疑で逮捕されるところで終わるが、ホリエモンの将来を占う意味からもミリケン氏の逮捕後の人生について調べてみた。
インターネット上の文献だが、ミリケン氏の「その後」について、いくつか面白い事実がわかった。その中でも、米国の投資関係のHPにあった次の記述には、考えさせるものがある。
「彼は、年間2億ドルから5.5億ドルの報酬を得ており、罰金などを支払っても有り余る金を持っていた。とはいうものの出所後、コンサルタントの仕事を始めた。しかし、これが保護観察期間の行動制限違反と認定され、4200万ドル(約50億円)の罰金を受けた。そして1993年、前立腺がんと診断され、その後は治療に専念すべく表舞台から去っている」(Investopedia.com Michael Milkenより。原文の英語を要約)
そしてさらに検索して驚いたのが、ミリケン氏本人のWEBページが存在していたことである。そのHPによれば、ミリケン氏は、現在、医学研究、教育、ファイナンスの3つの分野に情熱を傾け、いくつかの財団や研究機関を通じて社会貢献活動を行っているという。その中には、自分自身が患っている前立腺がんの研究機関への寄付や経済研究機関の設立・運営なども行っている。
聞くところによると、SBIホールディングスの北尾吉孝CEOも、こうした社会貢献活動に熱心だと聞く。ミリケン氏にせよ北尾氏にせよ、ファイナンスで財を得た人間の大人の知恵ではないだろうか。また、社会貢献活動は、外から見る限り偽善的に見えるが、実際的にやっているうちに、お金儲けや政治よりもリスクが少なく、面白いことが分かってきたのではないかもしれない。
今回のホリエモン裁判の判決後も、堀江氏には新たな民事裁判が控えている。もちろんすべての裁判に勝利する事が最も大切である。ただし、人生には思い通りに動くことばかりではない。そうした場合に備える意味からも、ミリケン氏の「その後」を参考にする意味はあるだろう。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 片岡孝二郎【 東京都 】
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