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ビルの谷間の自然観察園で秋を愉しむ=千葉・市川

ビルの谷間の自然観察園で秋を愉しむ=千葉・市川
秋の花が咲く、自然観察園(市川市)は訪ねる人も少なく、静かな散策が楽しめる。6日。(撮影:穂高健一)
【PJ 2006年09月09日】− 千葉県・市川市は、東京に隣接する大都市である。市内の全域には主要幹線道路や高速道が貫き、密集住宅やビル群などが建ちならぶ。永年の都市開発のなかで海の浦安、河川の行徳からはハゼなど海洋動物が逃げ出した。

 鳥類や植物たちが逃げ込めたのが同市・自然観察園(動植物園全体10.5ヘクタール)だ。同園は狭いながらも緑と湧水の谷津(やつ)と斜面林(しゃめんりん)の地形と景観を残す。動植物の生活や休息ができる、貴重な場となっているのだ。

 静寂さが支配する同園は、夏場は『ほたるの里』として、数万のゲンジボタルによる夜の光の乱舞が楽しめる。これら夏の暑きシーズンはもはや終わり。唯一、ツクツクホウシが去る夏にしがみついて鳴き続ける。微風と戯れる草花のなかで、松虫、キリギリス、鈴虫たちが優雅に秋を愉しむ。

 湧き水の小池の周りでは、食用蛙が牛に似た鳴き声をあげている。愉快な声だが、どこか秋のもの悲しいひびき。水辺を探しみるが、水中の鯉ばかり。細い水路の川辺では、カワセミがふいに美しい羽をひろげ、低空で飛んでいく。近づくと、からかうように数十メートル飛んでは着地し、ふり返る。近づくとまた飛び立つ。人間とは危険な存在なのか、つねに距離を保つ。そんな警戒心も必要だろう。

 湿生地には酸性雨などの影響なのか、可憐な草花が年々消えていく。他方で、毒ダミのような強い植物が勢力をもつ。これも人間が都市部を汚した影響なのか。きょうは深く考えるのは止そう。遊歩道には木漏れ日が射す。両脇の草地には、秋の七草がまだらに揃う。細長い奥まった園内を進めば、ひときわ目立つ赤紫のミソハギの花が満開だ。心の印画に写し取るように見入った。
 
 カメラマンの男性から、フクロウが6月に出産した二羽の子を従えているという情報をもらった。椎や栗など雑木林のなかを覗きみるが、夜行性の動物だけに、みじんの気配もなく、時間をかけても発見できなかった。

 樹幹の間には秋の高い雲が透ける。猛禽類のサシバが6羽で舞う。子育てを終えたサシバ(タカ科)は、蛙や蛇の餌が無くなるので、9月末には東南アジアに飛び立つ。親鳥のサシバはいまや子どもたちに遠方へ飛び立つ翼の訓練を授けているのだろう。

 園内では秋が静かに動いていた。哲学者や詩人の気持ちで、動植物たちと心を一つにしてみる。大都会の一角の閑寂な場所で、秋の音や秋の風に、静かに耳を傾けられる、散策スポットとして紹介してみた。【了】

■関連情報
市川市・自然観察園
市川市大町284
入園料は無料
問い合わせ先:観賞植物園 047−339-4411 

記者HP:穂高健一ワールド 
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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