24日、日本外国特派員協会で講演するハマ・アルバ・ディアロUNCCD事務局長(撮影:佐谷恭)

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来日している国連砂漠化対処条約(UNCCD)事務局長のハマ・アルバ・ディアロ氏(ブルキナファソ)が24日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演し、「砂漠化に対処しなければ、砂漠はどんどん拡大していく」と警鐘を鳴らした。すでに現在、アフリカからヨーロッパへ、南米から北米へ、土地の荒廃が進んでおり、地球の3分の1が砂漠化の直接的な影響を受けているという。

 ディアロ氏は、砂漠化の問題を「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」と表現。砂漠化は生物多様性の喪失や地球温暖化など、その他の地球環境問題との関連も深く、放置すれば知らぬ間にに人間が生活できる環境が少なくなると述べた。また、砂漠化のスピードは年々早まっており、状況はより深刻化しているという。

 一方で、中国やモンゴルで砂漠化を食い止めた例を紹介し、「対処すれば、またその土地を使えるようになる」と話した。中国・内陸部の砂漠化が進んだ結果、砂ぼこりが偏西風に乗って日本に飛んでくる「黄砂」の問題などについても触れ、日本にさらに技術的・財政的なサポートをしてほしいと訴えた。

 2006年は、国連が定めた「砂漠と砂漠化に関する国際年」。ケニア・ナイロビや中国・北京など、世界各地で会議やイベントが開かれている。国内では、25日に東京都渋谷区の国連大学で「砂漠とともに生きるII―乾燥地科学と現場での取り組み」と題する国際シンポジウムが開かれたほか、26日から鳥取でも国際会議が開かれる。また、東京都渋谷区の国連大学ギャラリーでは、31日まで「砂漠とともに生きる」と題する写真展が開催され、世界の砂漠、砂丘で集めた貴重な砂や種子などが展示されている。【了】