ドン・キホーテが「コンビニを展開していく上でもっとも重要な部門」と位置づける「中食」コーナーの様子。(撮影:東雲吾衣)

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ドン・キホーテ<7532>が新たに展開する「パワーコンビニ 情熱空間」の1号店が19日、東京都渋谷区の住宅街にオープンした。店内の厨房からできたての惣菜を提供する「中食厨房」や、既存のコンビニの2−4倍の品揃えが特徴だ。

 24時間営業の「情熱空間」渋谷西原店は、売り場面積が約60坪と、通常のコンビニの1.5倍から2倍の広さ。コンビニの主なユーザーといわれている20代から30代の男性に加え、20代から50代までの女性をターゲットに据える。ドン・キホーテ特有の陳列方式「圧縮陳列」は用いず、木目の棚や落ち着いたBGM(バック・グラウンド・ミュージック)で、これまで展開してきた総合ディスカウントストアとは一線を画す雰囲気作りを行っている。

 「できたてのお弁当と惣菜、そして『思わず買い物したくなる空間』が特徴」と話すのは、広報課の宝泉坊(ほうせんぼう)瑞穂さん。惣菜から香水まで1万2000点のアイテムが並ぶ店内は、棚の高さを変えることで空間に広がりを持たせる工夫も。

 一方で利用者からは「統一感がない」「コンビニ、食品スーパーとの使い分けが難しい」との声もある。開店の様子を見に来た主婦(55)は「商品がいろいろありすぎて、何を売りたいのかわからない。住宅街にはミスマッチではないか」と話した。また、同社が「コンビニを展開していく上でもっとも重要な部門」と位置づける「中食厨房」について会社員の女性(40)からは、「仕事が夜遅くに終わってコンビニで惣菜などを買うことが多い。『情熱空間』で買い物するかは味の良し悪しで決める」との意見も聞かれた。

 同社の新規事業推進室・関口憲司室長はコンビニ業界進出について、「深夜型の店舗展開をしてきた強みを生かした業態。経営が順調のうちに次の柱を育てたい」と語り、参入に自信を見せた。ドン・キホーテは18日、2006年6月期の決算発表を行い、売上高が前の期比12%増の2608億円、経常利益が12.5%増の144億円と10期連続の増収・増益だった。今後2年間で200店舗のペースで出店を進めたいとしているが、店舗面積や出店場所については1号店などの動向を見ながら見極めたい考えだ。【了】