2003年に出版された『理系白書』(講談社)内の調査データによると、文系出身者の方が理系出身者よりも生涯所得が5000万円も多いことが判明した。

 「文系に進むか、理系に進むか」。一見単純そうなこの選択が、実は今、所得格差の原因のひとつとなっているというのだ。

 それにしてもこれほどまでに、所得格差が広がってしまう理由は? キャリア関係の専門家に聞いてみた。

 「入社時は理系出身者の方が即戦力として給与も高い場合が多いです。しかし、年齢を重ね、管理職、役員に就く人となると比較的文系出身者の方が多くため、給与額が逆転してしまうのです。これが文系と理系の生涯所得の差につながると思われます」(日本キャリア開発協会 小原さん)

 調査の結果を見てみても、20〜30代の収入ではほとんど差がないのに比べ、40〜50代になるにつれて少しずつその差が開いていくという結果が出ている。このように所得という点からだけ見ると文系の圧勝と思われるが、この問題はそう簡単ではない。確かに理系出身者に比べ文系出身者の方が出世が早く、管理職などにもつきやすい傾向にある。ただ、文系出身者はそもそも就職がしづらいという側面もあるのだ。また、転職という点でも確かな技術のある理系の方が、評価や実績が分かりやすく有利である場合が多いという。

 「総合的にみると、どちらが良いとも言えません。今後は『理系だから文系だから』というより、個人の力量が重要になっていくと思います」(同)

 最近では、仕事の内容に合わせ、文系・理系の枠を超えた資格に挑戦する人も増えているよう。技術だけではなく、マネジメント能力や幅広い知識などを持った人材が、これからますます求められていきそうだ。

 文系なのか理系なのかということにこだわっていること自体、もうすでにナンセンスなのかも・・・。今後は、そんな枠にとらわれない、力と知識を身につけていかないといけないのかもしれませんね! (石橋夏江/verb)