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ジダンの頭突きとOECD対日審査報告書。(3)

【PJ 2006年07月23日】− (3)「どうして日本の若者は反乱しないのか」
(2)からのつづき。 「どうして日本の若者は反乱しないのか」。フランス経営大学院の日本視察団に詰め寄られて困った、とは山田昌弘東京学芸大学教授。この4月6日に開催されたコンファレンスでの述懐だ。コンファレンスとは財務省財務総合政策研究所の「経済格差とその政策対応に関するコンファレンス」。山田昌弘教授はあの『希望格差社会』の著者である。

 フランス人のコメントは「日本の状況はフランスの若者の状況よりもひどい。最低賃金は低いし、若者向けの生活保障はないし、年収100〜200 万円の若者が大量にいる」「どうして日本の若者は反乱しないのか」。そして逆に、「低賃金で雇えて、いつでも解雇できて、社会保障もないという労働者の存在が、(経営者の観点からは)羨ましい」とも言っていた。

 世界の目には、日本の「所得格差」問題は特異に映る。世界に類似例がない。どこが特異か。先の(シリーズ第一回)OECDのレポートが注意喚起していた「貧困」の増大を見てみよう。OECDは貧困の定義を「中位所得者の50%以下の所得者」としている。日本の貧困率は15.3%とかなりの高率、先進国の中では抜きん出ている。

 「所得格差拡大→貧困の増加」の理由の中に、母子家庭の増加、若年層の二極化、非正規社員の激増があり、この三者は相互に関連している。ちなみにこのうち、母子家庭の増加は日本の大きな社会変化の一つである。

 日本における生活保護受給世帯の数は、1995年の60万世帯から2005年には105万世帯へと急増している。更に1996年以降2002年までで、生活保護基準以下の「絶対的貧困者」の数が大都会でも小都市でも増えている。従来、生活保護世帯数は景気がいい時期は減少する傾向が強かった。しかし、04年度以降は景気回復の兆しが見え始めているにもかかわらず、増加傾向に歯止めがかからない。

 異様だ。だがしかし待って欲しい、特異なのはこの点ではない。「殻の保護」から「翼の補強」へ、これが欧州の最近の合言葉だ。機会の均等を強化する政策を支持する言葉。殻で守る(=給付金)より、その人が飛び立てるよう、翼(=仕事の力)を補強すべきというものである。つまり、職業訓練の機会の付与、その成果物としての「就業」、「就職」が、「貧困」からの脱出を現実化する手段として重視されている。

 ところが日本はどうだ。就業者たる「非正規社員」の低賃金が貧困につながっている側面がある。この点が深刻なのだ。働いているのに貧困であるという社会、日本。特に契約社員はほとんどフルタイムで、正規社員と同じような仕事をしているのに関わらず、有期契約であり賃金が6割である。

 働くことがが『脱「貧困」』につながらない日本。これが日本の特異性である。「どうして日本の若者は反乱しないのか」。フランス経営大学院の日本視察団のコメントは重たい。【つづく】

■関連情報
格差時代の"コト始め"実に8割の人が、「所得格差」を実感。「自分で自分を守らねばならない世の中だ(95.1%)」。東急エージェンシー調査。
「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」結果「正社員とほとんど同じ仕事をしている非正社員がいる」事業所、
約6割。時間当り賃金が低いと認識している非正規社員、6割強。
所得格差と若年雇用−2つの問題を併せて考える
経済格差とその政策対応に関するコンファレンス
格差拡大の政治・経済・社会学
所得格差問題について

WEBサイト『金融リテラシー』編集長:PJ活動のベースとなるクリッピング作業を公開、またメルマガも配信しています。


※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 神宮司 信也【 東京都 】
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