21日、東京地裁に入るライブドアの平松社長(撮影:吉川忠行)

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ライブドアグループをめぐる証券取引法違反事件で、同法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われたライブドア(LD)など法人2社に対する第3回公判が21日午前、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で行われた。証言台に立ったLDの落合紀貴取締役は、事件当時の社内体制について「情報や権限が一部の取締役に集中し、他の取締役からのけん制がきかなくなっていた」と証言した。裁判はこれで証拠調べを終了し、9月14日に論告求刑公判が行われる。

 落合取締役は、社内調査の結果として「社内にはいろいろな会議があったが、実質的な議論はされず、報告の場所だった」と証言。堀江元社長は会議を通さずに社の意思決定をしてしまうことすらあったという。当時は50万円以上の支出には堀江元社長の承認が必要で、社員教育は入社当日に行う1時間の入社ガイダンスのみだったことも明らかにした。

 同社株の暴落により被害を被った株主が起こした損害賠償訴訟については、「主張すべきことは主張して、裁判所の客観的な判断をもらいたい」とし、判決次第では相当な賠償金を支払う可能性があると述べた。今月設置した外部調査委員会が年末をめどにまとめる調査結果を受けて、旧経営陣に対する損害賠償請求を検討する考えも示した。

 公判には平松庚三社長も出廷。メディア部門で赤字が続いたことが事件の要因の一つになったと認め、「ポータルサイトはスタートが他社より遅かったので、閲覧者数が少なかった。5年くらいの初期投資期間が必要だったかもしれない」との認識を語った。

 また、小坂裁判長が事件後にLD解散の検討の有無を尋ねると、「その気はまったくなかった。私の仕事はLDを再生させることで、解散したり社名を変えることではない」と回答。「人的・資金的・技術的な経営資源が豊富にあるので、必ず再生させる」と意気込みを見せた。

 同社は、5月に行われた初公判で起訴事実を全面的に認めている。【了】

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