【TrendDoor】ジーコも使ってた? エコ風呂敷をバッグにマットにタペストリーに!
 庶民のお役立ち道具“風呂敷”を、国を挙げてのブームにしようという動きが去年末から始まっているのをご存知だろうか?

「レジ袋や紙袋にかわるラッピングアイテムとして環境保全に貢献する」と、小池百合子環境大臣が風呂敷の利便性・リサイクル性を訴えかけ、トリノ五輪の選手団壮行会ではものを大切にする日本文化の象徴として、小池大臣みずからがプロデュースした「もったいないふろしき」を代表選手に手渡した。
 さらに今回のサッカーW杯代表監督・選手にも同じものを進呈。ジーコがその風呂敷をいかに使っていたかは不明だが、日本文化の代名詞として外国へのお土産に重宝されているこの風呂敷、実は発祥の地は日本ではない。

 その生まれは古代エジプト。ギリシアからインドを通り、中国やモンゴルというように、シルクロード経由で日本に伝わったとされている。
 そう聞くとイスラム教徒が装飾にもちいるアラベスク(arabesque=アラビア風の意)と似通ったデザインになるのもうなずける。様々な模様の中で日本独自の感性や美意識を追求したものといえばやはり唐草模様だろう。
 唐草模様の風呂敷といえばほっかむりを鼻の下で結び、その背中には風呂敷をパンパンに膨らませた泥棒の姿が浮かんでくる。
しかしなぜ?

「その昔、人家に忍び込んだ泥棒は金品の隠し場所を探す前に、まずその家のたんすから風呂敷を手に入れ、それに盗んだ品物を詰めて逃げていたようです。行きは手ぶらで帰りはホクホクといったところでしょうか。“泥棒=唐草模様の風呂敷”の図式が定番になったのはつるが絡み合い四方八方に伸びていく図柄が繁栄の象徴として考えられ、どこの家のたんすにもその柄の風呂敷がしまわれていたからだと言われています」(京都 和文化研究所「むす美」 山田悦子さん)

風呂敷の素材には、主に「絹」「綿」「レーヨン」といった地球に優しい“土に還る素材”が使われている。レジ袋や包装紙のかわりに風呂敷を使うことで家庭ゴミの減少につながるし、何度でも繰り返し使えるため、これぞまさにエコロジーな日本文化といえるだろう。

 用途は様々、機能性だけでなくそのファッション性をも注目されている風呂敷。成田空港でのいでたちが毎回注目される中田(英)がヴィトンのかわりに風呂敷を背負って現れるのは時間の問題かもしれない。

筒井健二

ブロード 桐唐草風呂敷 - サイズ:175cm 素材:綿ブロード 色:紺
京都 和文化研究所「むす美」