顧客離れ、売上げ減が続く市場で、新規店、新業態、新商品に望みをかけるコンビニ各社(資料写真:吉川忠行)

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コンビニエンスストア大手4社の3─5月連結業績が12日までに出そろった。新規店の売上を除いた国内既存店売上高は軒並み前年比マイナス。チェーン全店売上高では、セブン-イレブン、ファミリーマートの2社が新規出店の効果などで微増を保ったが、ローソンとサークルKサンクスが前年を割った。

 国内最大手「セブン-イレブン」(国内1万1322店)を擁するセブン&アイ・ホールディングス<3382>が11日発表した2007年2月期第1四半期の連結業績によると、加盟店収入や自営店売上高、店舗物件賃貸料などを合わせたコンビニ部門の営業収益は前年比19.7%増の5235億円、営業利益は同1.5%増の485億円。既存店売上高は前年比1.8%のマイナス、チェーン全店売上高は同1.9%増の6209億円だった。

 ローソン(国内8364店)<2651>の4日の発表では、既存店売上高は前年比4.4%のマイナス、チェーン全店売上高は同0.8%減の3365億円。営業総収入は同3.6%増の689億円、女性やシニア層向けの新業態展開で販管費がかさみ営業利益は同15.6%減の106億円だった。

 5日発表のファミリーマート(国内6739店)<8028>の業績は、既存店売上高は前年比3.6%のマイナス、チェーン全店売上高は同3.7%増の2925億円。営業総収入は同11.8%増の745億円、上海、米国、北海道などの進出地域への先行投資やインターネット通販「ファミマ・ドット・コム」の経費増などが圧迫し営業利益は同1.9%減の69億円だった。

 3日発表のサークルKサンクス(国内6298店)<3337>は、既存店売上高は前年比5.2%のマイナス、チェーン全店売上高は同2.5%減の2273億円。連結対象が新たに加わったことで営業総収入は同3.3%増の477億円、営業利益は同0.7%減の59億円だった。

 各社は、低迷の原因をそろって◆天候不順の影響◆ハイウェイカードの販売中止─と説明しているが、顧客離れや客単価の落ち込みは著しい。日本フランチャイズチェーン協会の調べでは、コンビニ業界全体の5月の既存店売上高は22カ月連続でマイナス、既存店ベースで来客数が3カ月連続減少、客単価が10カ月連続減少で前年比6.4円減の567円となり、既存店の厳しい経営環境を浮き彫りにしている。

 その一方で、新たな顧客層の取り込みを図り、新業態への進出も相次ぐ。ローソンは高齢者向けに、休憩スペースや血圧計を設置した新業態店を7月から全国展開する方針を発表した。サークルKサンクスは、高齢者向けに加え、化粧品や健康志向の弁当などを拡充した女性向け店舗を今夏出店する。

 また、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスの3社は12日、共同で商品開発に乗り出すと発表。第1弾として8月1日、日本コカ・コーラ、サントリーフーズ、伊藤園の3社とそれぞれ連携し、新商品の清涼飲料3種類を投入する。業界2、3、4位、計2万店がタッグを組み、最大手・セブン-イレブンの包囲網を形成する構えだ。【了】