安倍晋三内閣官房長官。(資料写真:05年9月11日)

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北朝鮮による拉致問題等に関する衆院特別委員会(平沢勝栄委員長)は10日午後、安倍晋三内閣官房長官が出席して、閉会中審査を行った。北朝鮮のミサイル発射問題に対する経済制裁措置の一環として、政府は同国の貨客船「万景峰号」に対して6カ月間の新潟港入港禁止を決定したが、与野党議員の質問は、半年後の同措置に対する政府の対応に集中した。

 政府は5日、北朝鮮によるミサイル連続発射を受けて、同国に対する9項目の経済制裁措置を発表した。その一つが、新潟港での年間貿易額が11億円超(財務省調べ)とも言われる「万景峰号」の入港禁止措置。禁止理由に拉致問題が明記されていないことから、ミサイル問題が収束した場合、拉致問題未解決のまま同貨客船の入港禁止措置が解除されるのではないかという点に質問が集中した。

 これに対して、安倍長官は、ミサイル問題に進展があった場合でも「拉致問題も含め総合的に勘案した上で判断する」と繰り返し述べ、6カ月後の禁止解除措置については「その時の政府の判断による」との認識を示した。

 また、すべての北朝鮮籍の船舶に対する入港禁止措置を取らない理由を問われ、同長官は「万景峰号」が同国の人的・物的・経済的往来の「重要かつ象徴的な役割を果たしてきた」と指摘。その上で、同船の入港禁止措置は、北の誠意ある対応を促すための「有効な手段」であるとの判断基準を示した。【了】