ユベントスのクラブ事務所から飛び降りたペソット(C)EFE
 27日午前、今季限りで現役を引退したジャンルカ・ペソット(35=元ユベントスDF)がトリノにあるユベントス・クラブ事務所屋上から飛び降りる事件が起きた。約15mの高さから落ちたペソットは車の上に落下、複数箇所を骨折しており現在病院で絶対安静の状態。

 89−90シーズンにセリエC2バレーゼでプロ選手デビューを果たしたペソットはマッセーゼ(C1)、ボローニャ(B)、エラス・ベローナ(B)、トリノ(A)と着実にステップアップ、95−96シーズンにイタリア1の名門ユベントスに移籍。ユベントスの中心選手として11シーズン在籍、その間セリエA優勝6回、欧州CL優勝1回、トヨタカップ優勝1回、欧州スーパーカップ優勝1回、イタリアスーパーカップ優勝4回とタイトルを獲得。今季終了を持って現役を引退、ユベントスのマネージャーとして新たな一歩を踏み出したばかりだった。身長173cmと小柄ながらも抜群の読みを武器に代表でも22試合に出場した頭脳派DF。穏やかな表情と眼鏡姿で周囲からは「プロフェッソーレ(教授)」と呼ばれ、人望も厚かった。突然の自殺未遂はW杯ベスト8に進出したアズーリ(イタリア代表)への影響も大きい。主将のカンナバーロはショックで記者会見を中断、監督リッピはすぐさまチャーター機を手配しデル・ピエロ、ザンブロッタ、フェッラーラ(代表特別スタッフ)ら関係の深い3人をペソットの元に駆けつける事を許可している。

 真相はまだ解明されていないが、妻レアナさんによると「ユベントスのマネージャーという大役が務まるか悩んでいた」との事。現在ユベントスは前GMルチャーノ・モッジによる「審判操作」や「粉飾決算」などイタリア全土を揺るがすスキャンダルの渦中におり、周囲からの重圧も相当なものとなっている。人一倍責任感の強いペソットが精神的に追い詰められていたのが原因ではと見られている。

 発見された時、ペソットの手にはロザリオ(ローマ教会の数珠)が固く握り締められていたとの事。10歳と5歳の娘を持つ父親ペソット、イタリア中が早期回復を願っている。