自殺対策基本法が成立
国と自治体、事業主らに対し自殺対策を講じる責任を明確にした「自殺対策基本法」が15日、衆院本会議で可決、成立した。官民が連携し、社会的に追い詰められた末の自殺を減らし、未遂者や遺族を支援することが要請されている。
自殺対策基本法では、自殺を個人的問題としてのみとらえるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因があると位置付け、国、自治体、事業主、国民の自殺対策への責務を明らかにするよう求めた。その上で、それぞれが自殺対策に取り組む民間団体などと連携しなければならないと定めた。
基本的施策としては、国・自治体に対しては、効果的な予防策のために自殺の実態調査や、職場や学校、地域における心の健康を保つ体制の整備を要求。政府に対しては、自殺対策大綱の策定と、国会の年次報告を求めている。
日本の自殺者数は8年連続で年3万人を突破。これまで具体的な対応がされてこなかったことから、遺族への心のケアなどを含めて早急な対策が求められていた。
自殺対策では2005年12月、政府が15年度までに自殺者を2万5000人前後までに減らすことを目標にした総合対策を発表。06年3月には厚生労働省が都道府県と政令市に対して、自殺対策連絡協議会の設置や相談体制の充実などの取り組みをするよう通知を出した。しかし、これまでは法的な裏付けがなかったため「お願い」でしかなく、各自治体に判断が委ねられているのが現状だ。
法制化をめぐっては今春、自殺対策に取り組む全国の市民団体が中心となって署名活動を展開。1カ月半の間に10万人を超える署名が集まり、法制化を後押しした。また、超党派の参院議員が法制化実現に向けて有志の会を結成、法案を取りまとめたことが法律実現につながった。
今月7日に署名を参院議長に提出した際には、発起人の一人であるNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表は「法律ができたからすぐに自殺がなくなるわけではないが、自殺対策における最大の啓発活動になり、関係者が連携して対策に取り組む足場ができる。新しい枠組みの中で何ができるのか、対策の具体案を現場から発信していきたい」と話していた。【了】
■関連記事
自殺対策求める署名に10万人
10年で自殺者7000人削減へ
自殺の悲しみ、分かち合って
■関連コンテンツ
NEWS GyaO
自殺対策基本法では、自殺を個人的問題としてのみとらえるべきものではなく、その背景に様々な社会的な要因があると位置付け、国、自治体、事業主、国民の自殺対策への責務を明らかにするよう求めた。その上で、それぞれが自殺対策に取り組む民間団体などと連携しなければならないと定めた。
日本の自殺者数は8年連続で年3万人を突破。これまで具体的な対応がされてこなかったことから、遺族への心のケアなどを含めて早急な対策が求められていた。
自殺対策では2005年12月、政府が15年度までに自殺者を2万5000人前後までに減らすことを目標にした総合対策を発表。06年3月には厚生労働省が都道府県と政令市に対して、自殺対策連絡協議会の設置や相談体制の充実などの取り組みをするよう通知を出した。しかし、これまでは法的な裏付けがなかったため「お願い」でしかなく、各自治体に判断が委ねられているのが現状だ。
法制化をめぐっては今春、自殺対策に取り組む全国の市民団体が中心となって署名活動を展開。1カ月半の間に10万人を超える署名が集まり、法制化を後押しした。また、超党派の参院議員が法制化実現に向けて有志の会を結成、法案を取りまとめたことが法律実現につながった。
今月7日に署名を参院議長に提出した際には、発起人の一人であるNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表は「法律ができたからすぐに自殺がなくなるわけではないが、自殺対策における最大の啓発活動になり、関係者が連携して対策に取り組む足場ができる。新しい枠組みの中で何ができるのか、対策の具体案を現場から発信していきたい」と話していた。【了】
■関連記事
自殺対策求める署名に10万人
10年で自殺者7000人削減へ
自殺の悲しみ、分かち合って
■関連コンテンツ
NEWS GyaO