14日、幕張メッセで開かれた臨時株主総会閉会後も居残る株主との対話に応じる平松社長(左)以下ライブドア新執行部。(撮影:吉川忠行)
「具体的な補償の内容を説明しろ」「○○万円損したんだ!」と沸き起こる罵声(ばせい)、フェンスを乗り越えようと壇上に突進する株主を取り押さえる警備員、場内に響き渡る「堀江コール」─。

 14日、堀江貴文元社長らによる証券取引法違反事件後初めて開かれたライブドアの株主総会は、平松庚三(こうぞう)社長や宇野康秀・USEN社長ら計6人の取締役選任など全議案を承認すると一転、大荒れの展開となった。

 総会で、開始から3時間が経過した午後5時過ぎ、17人目の質問者が質疑を終えると、議長の山崎徳之代表取締役はいきなり審議終了の合図を発した。会場内に8本立てられたマイクの前には、質問をしようと計40人ほどの株主が残っていたが、山崎氏は飛び交う怒号の中、動揺を隠しきれぬまま採決に踏み切った。

 閉会宣言で全役員が退場した後も、参加株主約1800人のうち2割程度が居残り、議事進行への不満や説明責任を求める声で会場は一時騒然となった。それから10分すると、総会終了をもって代表取締役退任となった山崎氏が再び壇上に現れ、自分に議長の権限が消滅したことを釈明。代わって新取締役に就任した平松社長と清水幸裕副社長、落合紀貴副社長が登壇し、再び株主との対話に応じた。

 株主によると、新経営陣との質疑では、ライブドア株で多額の売却損を負った株主からは、被害を訴え、賠償を求める意見が、また、質疑を打ち切られた株主からは、採決の方法をめぐって追及する声が相次いだ。午後7時を回ると、平松社長が会場の貸切時間の都合で閉会することに理解を求め、終了に至ったという。

 閉会後、一斉に会場から出てきた株主らの表情は疲れきった様子。「消化不良」「お粗末」「官僚的」「血も涙もない」。待ち構えていた報道陣に取り囲まれると、こう口々に新生ライブドアへの不満や不信感をぶちまけながらも、平松社長の対応については「誠意は感じた」などと評価する声も多く聞かれた。「株主の拍手で多くの賛同を得たとしたが、実際には半分以下」と、株主の意志の反映をめぐって疑問を投げかける株主の姿もあった。

 「納得して帰った人は一人もいない」と激しい口調で語るのは、05年3月にライブドア株を買い始め、現在も10万株を保有する男性株主(62)。今後もライブドアの経営再建を静観する構えとしながらも、「再三謝罪はするが、誰に対し 謝っているのかさっぱり分からない」と経営陣の発言に首を傾げていた。400株を保有する日本在住のドイツ人株主(36)は、「議案について議論する時間が足りない。拍手のみで採決を決めてしまうのは乱暴すぎる」と不満げに語った。

 「ライブドア被害者の会」事務局長の森田亮介さん(23)は終了後、今後について「(損害賠償請求などを検討する)外部調査委員会の設置に申し入れをして、年内に和解を目指したい」と話していた。【了】

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