自分の行動が携帯電話によって、すべて会社に「監視」される。そんなシステムが開発された。外回りと見せかけて実は喫茶店で油を売る、なんてことは、もうできないのだ。

   指紋認証システムを販売しているヒューマンテクノロジーズ(神奈川県川崎市)は2006年6月15日、モバイル勤怠管理システム「King of Time モビレコーダー」を発売する。携帯電話のGPSとカメラ機能を組み合わせた製品(ソフトウェア)だ。利用料金は1ユーザあたり月500円(税別)。

GPSで取得した位置情報が管理者に送信される
ヒューマンテクノロジーズ社が発売する「King of Time モビレコーダー」。出退社時に画面上で「打刻」する
ヒューマンテクノロジーズ社が発売する「King of Time モビレコーダー」。出退社時に画面上で「打刻」する

   出社の通知をすると、GPSで取得した位置情報が管理者に送信され、どこに行ったかが会社に分かる仕組みだ。しかも、カメラで自分の顔を撮影して「生体認証」をするため、大学生でいう「代返」もできない。

   発売元のヒューマン社によると、携帯端末を使った勤務管理のニーズは拡大しているといい、KDDIからの「法人市場に販売を拡大したい」という申し入れをきっかけに開発された。この製品は、現段階ではauの携帯電話2機種のみで動作する。

発売元は「サービス残業が減らせる」というものの

   発売元はJINビジネスニュースの取材に対し、

「これまでは、工事現場やキオスクなど、タイムカードが使えない職場も多かった。このシステムで正確な記録が可能になるので、不正な打刻、ひいてはサービス残業が減らせる」

と、働く側へのメリットを強調する。

   この製品、発売元でも「いまのところ、数件問い合わせがあった程度です」というように、まだ特に注目されている訳ではない。同社では、1年間に2,000ユーザの獲得を目指している。
だが、早くも

「外回りの勤務監視は社員のモチベーション等に悪影響も考えられるので、よくよく考えながら導入する必要があると思う」
 

   という指摘をするブロガーもいる。

   週刊ポスト6月16/23日号は4ページを割いて「私たちは社内メールで左遷・解雇された」という特集を掲載した。メールに書いた上司の悪口が筒抜けになって左遷されたケースや、勤務時間中にメールで株取引をしていたことがばれて解雇されたケースなどが紹介されている。ビジネスパーソンの間では、「私用メールには気をつけよう」という考えが浸透している。次は、「携帯監視」。ビジネスパーソンにとって、ますます気が抜けない時代になりそうだ。


【JINビジネスニュース編集部より】
   JINビジネスニュースでは、「会社はどこまで社員を監視することが許されるのか」についての読者の皆様のご意見を募集します。当記事へのコメント・トラックバックにてお寄せください。ライブドアニュース経由でご覧の皆様は、こちらからどうぞ。