芸能人や政治家に最近しばしば起こる「ブログ炎上」。一度炎え上がると、「鎮火」させるのは至難の業だ。藪本雅子・元日本テレビアナウンサーの「パンツ騒動」はその後、どうなったのか。

   2006年5月26日に、

「今回寄せられた全てのコメントを一度見直す必要があると思いますので
いったん、本文とともにコメント欄を閉じさせていただきます」

という書き込みとともに、騒動になった一連の記事は全て削除され、それ以降、更新されない状態が続いている。
   JINビジネスニュースでも報じたように、後輩男性アナの盗撮事件について、06年5月19日、自身のブログに「基本的には男っていうのは、女の子のパンツが見たい」などと後輩や日テレを擁護しているとも取られかねない書き込みをした。これに対して、同アナを批判するコメントが殺到した。一旦は問題の記事を削除したものの、「逃げも隠れもしません」と、再び掲載。経緯について説明を試みるも騒動は収まらず、5月24日の記事で「もうこれで終わりにさせてください」と「敗北宣言」に追い込まれた。
   藪本さんは「敗北宣言」の時点での夕刊紙の取材に対して「日本の空気が読めなかったですね」と答え、週刊文春に対しては「ブログは閉鎖の方向で検討中」と明らかにしている。現在の藪本さんのブログは、騒動以前の記事が閲覧できるだけで、事実上「閉鎖状態」だ。

民主党の長島衆院議員ブログも炎上
「堀江二セメール問題」で炎上した民主党・長島昭久衆院議員のブログ。一度炎上すると鎮火には骨が折れる
「堀江二セメール問題」で炎上した民主党・長島昭久衆院議員のブログ。一度炎上すると鎮火には骨が折れる

   確かに、空気を読めずに「炎上」したブログは他にもある。

   民主党長島昭久衆院議員は06年2月22日、自身のブログに「嵐の中の党首討論」という記事で、民主党がいわゆる「堀江二セメール問題」で劣勢となっていた中、「この勝負絶対勝てる。今日初めてそう確信した」と書いた。すると、「民主党がいつも政府・与党に求めている説明責任を果たしてください」といった、民主党の脇の甘さを指摘するコメントが773件書き込まれた。
   さらに同議員は翌23日に、ずばり「ブログ炎上」という記事を掲載した。コメントがたくさん寄せられたことについて、「驚いた」といった内容だった。
   これに対して、

「真摯な批判や疑問も含まれているのに
それには全く答えようともせず
ブログが炎上の一言で片づけるんですね」

   などとコメントが殺到、火に油を注いだ。これまでに、総数は670件に達した。

本音はSNSで、よそ行きの意見はブログで、というやり方

   「ビジネスの新常識 ブログのすべて」(ディー・アート刊)などの著書があるジャーナリストの田口和裕さんは、ブログが炎上する原因についてこう話す。

「自分ではごく普通の意見だと思っていても、ある種の人たちの逆鱗に触れる事柄というのは意外にあるものです。ある事柄について書くと、それに興味を持った人が検索したときにあなたのブログがひっかかるということは必ずあります」

   では、ブログを炎上させないためには、どうすれば良いのか。しかし、炎上させないために当たり障りのない内容しか書けなくなるというのでは、本末転倒だ。田口さんは、こう続ける。

「基本的にコメントにはたとえネガティブなコメントであっても誠実に対応し、相手が対話を求めていない、単なる荒らしであると判断した場合は、理由を明記してコメントを削除してしまいましょう」

   長島議員は「火に油を注いだ」記事の11時間後には

「『ブログ炎上』などと不謹慎な表現を使ってしまったことお詫びしなければ。寄せられたコメントの大半は真摯なご意見ばかりで、その意味では、俗にいう『祭られた』現象とは異質なのだと思う」

と自分の軽率さを反省する書き込みを行い、その後も、民主党と自身の見通しの甘さについての反省の弁を繰り返し述べている。

   現在も長島議員のブログには大量のコメントが書き込まれるものの、「罵詈雑言」のたぐいは減り、「鎮火」に成功しつつあるようだ。

   一度炎上すると、鎮火させるには骨が折れる。そもそも出火させないためには、「当たり障りのある本音はmixi(ミクシィ)などのSNSで、よそ行きの意見はブログで、という使い分け(田口さん)」という手段が有効だという。

   「場所をわきまえて話をする」「意見には誠実に対応する」など、対応は「実社会」とそれほど違いはないようだ。