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「行商専用車」ってまだあるの?=京成電鉄

「行商専用車」ってまだあるの?=京成電鉄
朝の通勤時間帯の列車にも、行商専用車が連結されている、京成電鉄。(撮影:穂高健一)
【PJ 2006年06月01日】− 京成電鉄は千葉県から東京・下町を走る。朝九時半ばの青砥駅に、京成上野行の普通列車が入線してきた。六両編成の最後尾の車両に乗り込もうとすると、全員が農婦だった。「だめよ、この車両は」といっせいに大声が飛んできた。事前に、駅の案内放送があったわけではない。戸惑うひとが多い。だれもが追い出されてしまった。

 五両目に乗り込むと、六両目との連結部には『この車両は行商専用車です』という青い幕が全面に張られていた。いっさい行き来できない。潜り込めないように、野菜箱が置かれている。

 千葉県の成田・佐倉方面からきた農婦たちは、やがて一駅ずつ、頭上高く重い荷物を担ぎ、下車していく。そして東京下町の駅界隈で、みずから育てた野菜や自家製の漬物や庭木でできた果実を広げて販売するのだ。実にエネルギッシュだ。

 待ち構えていたように人だかりができる。新鮮で鮮度がいいと、ファンが多い。自転車で遠くから買いにくるひともいる。下町の風物詩のひとつだ。

 農婦の多くが高年齢だ。町屋駅前の露天販売の農婦に聞けば、80代だとおしえてくれた。後継者はいないという。いずれかの日に、行商専用車両の役目は終わったといい、廃止になる日がくるだろう。歴史の一コマとして過去に追いやられ、写真でしか確認できない時代になるはずだ。

 朝の通勤電車の混雑などを考えると、現段階でも廃止されてもおかしくない。おおかた、戦後の食糧難の時代からつづいているのだと思う。いまなお千葉県の行商人の農婦に便宜を図り、文化的財産ともいえる行商専用列車を維持する、京成電鉄には敬意を払いたい。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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