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市民ランナーよ、マラソンは『愛』で優勝を狙え(上)

市民ランナーよ、マラソンは『愛』で優勝を狙え(上)
フルマラソンで過去16回の優勝経験をもつ、平沢直樹さん。(写真提供:平沢直樹さん)
【PJ 2006年05月20日】− 日本人はマラソンが好きだ。諸外国に比べても引けをとらない。約3万人が出場するホノルルマラソンでは、三分の二が日本人ランナーである。来年には、市民ランナーが参加できる東京マラソンがいよいよ開催される。マラソン熱がさらに高まると予想される。

 昨年八月の北海道マラソンで、TV中継車は女子優勝者の千葉真子さんを追っていた。36キロ地点まで、千葉さんと併走していた一般男子ランナーの胸(通常は実業団名などが書かれている部分)に『のり子大好き』という手書きのロゴが映し出されて注目を集めた。それは市民ランナーの平沢直道さん(31)である。

 平沢さんはフルマラソンで、過去16回の優勝経験をもつ。『のり子大好き』がトップランナーの仮装とか、パフォーマンスとかは考えにくい。平沢さんから話を聞くことができた。『のり子大好き』は陸連に正式登録している所属名だと前置きし、マラソン歴を語ってくれた。渡良瀬遊水池マラソン、洞爺湖マラソンでは三連覇。今月21日におこなわれる洞爺湖マラソンで四連覇をめざす。

 小学生時代の平沢さんは肥満体で、マラソン大会はいつもビリから二、三番目だった。コンプレックスを持っていたという。中学時代はバスケット部に入った。からだが細くなると、走れば順位が上位となった。走ることが面白くなった。逆の快感を味わったのだ。

 独協埼玉高等学校では陸上部に入った。当初は、そんなにも続ける気はなかったらしい。「1年先輩に、かわいい女子部員がいたんです。『平沢くん、種目はなに?』と聞かれたから、1500メートル走と応えると、『中長距離なら、私とおなじ種目ね』という会話が交わされた。一目ぼれでした」。それが平沢さんのマラソン人生を決定づけたのだ。

 先輩女子が練習中に仲間といつかフルマラソンを走ってみたい、ホノルルマラソンは楽しそう、と会話を交わしていた。「彼女より先にフルを経験して、アドバイスできたらいいな。片想いだけれど、活躍して格好いいところを先輩にみせたい」という動機から、高校時代にはフルマラソンを経験しておく、という目標をもった。

 平沢さんは高校卒業式の5日まえに行われた、ロスアンゼルスマラソンで、フルマラソン初出場を果たしたのだ。「恋心がフルマラソンチャレンジへの動機と、牽引力になりました」と語ってくれた。

 平沢さんに、最も印象に残るレースを聞いてみた。「大学3年のときに出場した、95年パリマラソンです」。女子優勝者はハンガリーのJ・ナギ選手だった。その選手を平沢さんは自分を限界に追い込んで追走していた。日本のTV局が生中継していた。『1329番は獨協大学の平沢選手です。日本の平沢選手もまもなくゴールしようとしています。』とアナウンサーが紹介してくれていたようだ。それが後々の励みにもなった。ラスト250メートルでスパートし、平沢さんは女子のトップの2メートルほど前に出た。ゴール寸前でいきなりゴールテープが現れた。

 『あのテープは女子優勝者のものだ』と、後ろに引いた結果、優勝した女子は2時間31分43秒、平沢さんは1秒遅かったという。スポーツ精神とヒューマニティのある話しだと思う。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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