25日、都内の本社で06年3月期決算を発表する日産自動車のゴーン社長(撮影:吉川忠行)

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日産自動車が25日に発表した2006年3月期の連結決算で、営業利益が前年比1.2%増の8718億円、純利益が同1.1%増の5180億円と過去最高益を更新した。

世界販売台数が356万9000台と前年より5.3%増えたことや、円安効果、部品メーカーのカルソニックカンセイを連結対象化が奏功した。特別損益は369億円の赤字だが、前年より225億円改善。固定資産への減損会計の適用で発生した損失を、ボルボへの日産ディーゼル株売却益で吸収した。

 地域別の販売台数は、新型車を重点的に6車種投入した国内が同0.7%減の84万台。新車のなかった北米では同6.1%増の108万台と2年連続で過去最高と堅調だったが、同社の北米に依存する構図が浮き彫りなった。小型車「ティーダ」がカー・オブ・ザ・イヤーを獲得した中国では、同53.4%増の30万台に達したほか、中近東、中南米など海外の新興市場で好調が目立った。

 同日、東京都中央区の本社で記者会見したカルロス・ゴーン社長は、中期計画「日産バリューアップ」のスタートにあたった05年度について、原油高や金利上昇、少ない新車投入などをあげ、「逆風と激動の1年」と総括。国内の不調について「日本おける業績は改善しているものの、期待通りとは言えず、国内販売状況は課題」と厳しい認識を示した。

 07年3月期の業績予想は、売上高が前年比6.9%増の10兆円、営業利益が同0.9%増の8800億円、純利益が5230億円としている。秋にはロシアで最高級ブランド「インフィニティ」を販売開始。北米で3車種、国内で3車種、欧州で2車種と下期に新型車8車種を投入し、世界販売は前年比4.5%増の373万台を見込む。【了】