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大学の誘致は市民にどんな利益をもたらすか(下)

【PJ 2006年04月21日】− (上)からのつづき。 TAPサテライトギャラリーでは05年6月より毎月、TAP参加作家や取手に縁のある若手アーチストの作品展示をおこなってきた。取手のサテライトギャラリーで一カ月間にわたって展示されることは、若い作家にとっては将来につながる、大きな励みになるようだ。TAP実施本部には専属のスタッフがいない。事務局として週二日間の非常勤スタッフが、市民や取手市担当者と一緒に展覧会の企画、製作、運営などを、年間を通しておこなっている。

 「それでも、TAPに対する市民の認識はまだまだ薄いようです」と、TAP事務局の及位さんは率直に認めている。小学校にアーチストを派遣したり、子どもたちのワークショップを開催したり、学生の制作した現代美術が街なかに飛び出したり、さまざまな試みがなされているのだ。

 取手が『芸術のまち』として認知されるには、全国の若手アーチストにもっと取手市の取り組みを知ってもらう必要がある。「そこで、取手から全国に発信するために、公募をはじめたわけです」と渡辺芸大教授は語る。全国公募によって、芸術家を志す若いひとの目が取手市に向けられる。と同時に、若手アーチストには発表の場をサポートする組織がある、と知ることになる。当初からの目標『芸術によるまちづくり』に近づいていく、一つの手段でもあった。

 TAPが『公募』と『オープンスタジオ』の二つ柱のほかに、もう一つ大きな柱としてかかげるのが芸術環境整備(芸術教育の普及、人材育成)の事業である。TAPの事業がさらに市民に溶け込むように、04年からTAP塾(塾長・熊倉純子、音楽環境創造科助教授)を発足させた。市民(市外も可)が参加できるインターン制度を作った。インターンになれば、芸大の指導者たちとともに、若い芸術家たちをサポートする役目を担う。活動を通して芸術家たちがどんな活動をしているのか、と市民が知ることになる。

 清水彩(あやか)さんはインターンとして約一年間たずさわってきた。「展覧会を作り上げるプロセスに参加できることは、とても嬉しいです。私たちがアーチストを紹介し、育成している、という意識を持つことで、モチベーションがあがります。ここで培ってきたことが、将来役立つと思います」。将来は現代アートの評論家になりたいという。

 芸大が中心となって始まったTAPだが、取手市はこの先どう発展させていくのか。インターンのひとり取手市民の斉藤久代さんは「上野、松戸、取手をつなぐ常磐アートライン構想があります。その実現に向けて努力していきます」という。『芸術によるまちづくり』から、さらに進んだ常磐アートラインの構想は壮大だ。実現させるためには、行政の長がみずから芸術への理解を深め、アーチストの生活を含めた活動支援の施策を打ち出し、市民がさらなる予算を使うことに納得する環境をつくることだろう。
 
 市長や市議会議長がTAPのインターンになってみる。そんな積極的な姿勢を市民にみせる必要があるかもしれない。市民は「芸術のまち」に住むと誇れるだろう。「国立市と一橋大との良好な関係、早稲田大の学生街。こうした街ができあがるまで、長い歳月を要しますからね」と語った渡辺助教授のことばが印象的だった。【了】

■関連情報
TAP
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一【 東京都 】
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